こんにちは!助産師のユイです。
これまでに新生児訪問や乳幼児健診、そして子育て支援センターなどでたくさんの相談を受けてきました。
そしてこのブログでは、最新の研究を元にパパ・ママの心配に答えます!
今回のテーマは「安定期」です。
安定期っていつ?過ごし方に注意点はあるの?などさまざまな疑問に答えました。
ぜひ参考にしてください。
1.安定期とは?
もくじ
- 1 (1)安定期はいつから?12週?16週??
- 2 (2)安定期はいつまで?
- 3 (3)安定期のお腹の大きさは?
- 4 (4)安定期の赤ちゃんの大きさは?
- 5 (1)妊娠中でも安定期なら旅行に行ける?
- 6 (2)安定期の食事で気をつけることは?
- 7 (3)安定期は運動をしても大丈夫?
- 8 (4)安定期の体重増加の目安は?
- 9 (5)妊娠中でも安定期なら歯医者に行ってもよい?
- 10 (6)安定期の性生活はどうしたらよい?
- 11 (1)貧血
- 12 (2)便秘や頻尿
- 13 (3)お腹の張り
- 14 (4)腰痛
- 15 (1)後期流産と切迫早産
- 16 (2)子宮頚管無力症
- 17 (3)妊娠高血圧症候群
- 18 (4)妊娠糖尿病
- 19 (5)前置胎盤
- 20 まとめ
(1)安定期はいつから?12週?16週??
「安定期とはいつからですか?」
そんな質問を受けることがよくあります。「安定期」とは医学用語ではなく、実ははっきりと時期が決まっているわけではありません。
一般的に12週や16週からを安定期としていることが多いのは以下のような理由が考えられます。
- 妊娠12週を過ぎると流産の可能性が少なくなる
- 15~16週頃に胎盤が完成する
- 16週ごろにつわりがおさまり体調が安定する場合が多い
12週~16週頃を目安に、健診や自分の体調などから「そろそろ安定してきたかな」と感じたら安定期と考えてよいでしょう。
(2)安定期はいつまで?
安定期の始まりに決まりが無いのと同様、いつまでが安定期かという決まりもありません。
一般的には妊娠28週未満とすることが多いようです。(妊娠32週未満としている場合もあります)
妊娠28週以降は「妊娠後期」と呼ばれます。(これは医学用語です)
妊娠後期になると、赤ちゃんの成長が一段と進み、お腹がかなり大きくなることでさまざまな症状がでてきます。そのため、「安定期」と呼ぶには体への負担が大き過ぎますね。
(3)安定期のお腹の大きさは?
安定期に入り始めたころの子宮は、大人の頭程度の大きさになっています。外見は個人差が大きいですが、だんだんとお腹が前に出始める人が多いでしょう。
妊娠5か月では戌の日に腹帯を巻いて安産祈願をする方もいるでしょう。これは出始めたお腹に腹帯を巻くことで、お腹の赤ちゃんを守ったりお母さんの体が少しでも楽に過ごせるようにしたりする意味もあります。
また、安定期が終わるころには、子宮は25センチ前後まで大きくなります。子宮底(子宮の一番上)がかなりせり上がってきて胃のあたりを圧迫し始めることで、呼吸が浅くなったり胃のむかつきを感じ始める方もいるでしょう。
(4)安定期の赤ちゃんの大きさは?
安定期に入り始めたころの赤ちゃんは、体重100g前後、身長は15センチ程度です。
下図はお腹の赤ちゃんの体重の変化を表したグラフです。95.4%の赤ちゃんの体重が、オレンジと水色のグラフの間に入ります。
グラフから、安定期に入り始めたころには100g前後だった体重が、安定期の終わりには1000g~1500g程度まで大きくなることがわかります。
2.安定期の過ごし方Q&A
(1)妊娠中でも安定期なら旅行に行ける?
旅行は、体調と相談しながら無理のない計画を立てましょう。また、遠方への旅行は避けた方が無難です。
計画する際には以下のことに気をつけましょう。
- 医師から安静などの指示がでていないこと(旅行前に必ず医師に確認しましょう)
- こまめに休憩をとれるよう計画を立てる
- 体に負担のかかること(登山、ジェットコースター、海水浴、アスレチックなど)は避ける
- 人混みは転倒や感染のリスク
- 普段と違う食べ物に注意
いくら注意しても、旅行中に体に異変が起こることはあります。できるだけすぐにかかりつけに受診できる距離にしておくことをおすすめします。
また、海外旅行は、万が一の際に海外で受診することになったり、状況によっては帰路の飛行機に乗れなくなる可能性、海外での出産の可能性もあります。もしそうなればリスクが大きくなることはもちろん金銭的にも莫大な費用がかかります。
妊娠中の海外旅行は控えた方が良いでしょう。
(2)安定期の食事で気をつけることは?
つわりの時期は必要な栄養を十分に摂ることが難しかった方も多いでしょう。また、妊娠後期には大きくなった子宮が胃を圧迫して食欲がなくなることもあります。
体調が安定している安定期には、必要な栄養をしっかり摂るよう気を付けましょう。
妊娠中の栄養バランスを考える際は、「食事バランスガイド」がおすすめです。イラストで直観的に確認できるよう作られているので、ぜひ参考にしてください。
また、妊娠中の栄養については以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
(3)安定期は運動をしても大丈夫?
妊娠中の運動については、日本臨床スポーツ医学会が提言している「妊婦スポーツの安全管理基準」があり、運動可能な時期は妊娠12週以降としています。
また、同基準では、運動の時期以外にも以下のような身体的な注意点を挙げています。
- 期流産 / 早産の既往がないこと
- 妊娠経過に問題がないこと
- 体調に問題がないこと
- 主治医の許可を得ていること
注意点の詳細や妊婦さんにおすすめの運動、避けた方が良い運動等は以下のコラムで紹介しています。
(4)安定期の体重増加の目安は?
妊娠中の体重増加の目安は以下の通りです。
・妊娠全期間を通しての推奨体重増加量
・妊娠中期から末期における1週間あたりの推奨体重増加量
※体格区分は妊娠前の体格
※BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
あくまでも目安ですが、安定期の体重増加量は以下の例ように計算できます。
例)・妊娠20週
・妊娠前のBMIは「普通」
・妊娠してから現在までに5kg増加している
- BMIが「普通」なので、妊娠全期間を通して7~12kgの増加が目安
- これまでに5kg増加しているので、あと2~7kg増加可能
- 妊娠期間は残り20週あるので、1週間当たりの増加量は以下のように計算できる
7~12kg ÷ 20週=0.35kg~0.6kg
計算結果と1週間当たりの推奨体重増加量と合わせて考えると、1週間当たり0.35kg~0.5kg程度が目安と考えられます。
実際には、既往や前回の妊娠の状況などによってさまざま考えられるため、どの程度の体重増加を目安にするかは主治医に確認しましょう。
(5)妊娠中でも安定期なら歯医者に行ってもよい?
妊娠中には積極的に歯のメンテナンスをする必要性が高くなります。
そして歯科検診や治療を受ける時期は、安定期がおすすめです。
妊娠中に歯科検診や治療を受ける必要性
- 妊娠中はホルモンの変化により歯肉炎や歯周病になりやすい
- つわりで歯磨きが不十分になりやすく、虫歯になりやすい
- つわりでおう吐が多いと、歯が胃酸の影響を受けていることがある
- つわりで小分けに食べていると虫歯になりやすい
- 歯周病は早産のリスクが高まる
- 虫歯を放置すると赤ちゃんにうつしてしまう可能性がある
つわりの時期に歯科治療を受けるのはつらいでしょう。また、お腹が大きくなると、仰向けでいることで気分が血圧低下や動悸などを起こす「仰臥位低血圧症候群」になるリスクがあります。そのため、歯科検診や治療は安定期(できればつわりが終わったら早めに)がおすすめです。
もちろん、妊娠していることは必ず伝えましょう。
(6)安定期の性生活はどうしたらよい?
安定期の性行為は、体調に合わせて考えましょう。
安静指示が出ているときは絶対にダメですが、そうでなくても行為中にお腹が張ることもあります。お腹が張った場合には、安静にして張りが収まるのを待つことが基本です。
また、精液には子宮収縮を促す作用があります。必ずコンドームを使いましょう。
3.安定期に多いマイナートラブル
マイナートラブルとは、病気ではないけれど不快な症状をさします。特に以下のような症状が起こりやすいため注意しましょう。
(1)貧血
妊娠中は貧血になりやすく、貧血のままでいると出産時に出血が多くなったり、産後の体調不良の元になったりします。特に安定期は鉄分の必要量が増える時期であるため、食事で鉄分や鉄を吸収するのに必要なたんぱく質をしっかり摂ることが大切です。
また、鉄剤などが処方された場合には忘れず飲みましょう。
以下の記事では、鉄剤も含めた妊娠中のサプリメントについて詳しく説明しています。
食事で鉄分をしっかり摂るには以下の記事を参考にしてください。
(2)便秘や頻尿
子宮が大きくなってくる安定期には、膀胱や直腸が子宮に押されて便秘や頻尿になりやすいです。
便秘は放置すると早産の原因になることもあります。食物繊維をしっかり摂ることや、運動、マッサージなどが効果的ですが、それでも難しければ健診時に相談しましょう。
妊娠中の便秘対策は以下の記事で詳しく説明しています。
また、尿意を感じたら我慢せずこまめにトイレに行きましょう。排尿の際、腹圧をかけて尿を出し切ろうとすると排尿に関わる神経が働きづらくなることがあります。腹圧をかけずに自然な排尿を心がけましょう。
排尿時に痛みがあったり尿が残っている感じがある場合には、膀胱炎などの可能性もあるため産院に相談しましょう。
(3)お腹の張り
「安定期」という言葉はトラブルが少ない時期のように感じますが、切迫早産には十分注意する必要があります。
お腹がカチカチになる、子宮が縮こまる感覚など子宮収縮の症状を感じたら、安静にして症状が治まるのを待ちましょう。1日に何度も症状が出る場合や安静にしてもなかなか治まらない場合には切迫早産の可能性も考えられます。早めに受診しましょう。
(4)腰痛
安定期はお腹が大きくなるため、その重みで腰痛になりやすい時期です。
特に反り腰になることで腰に負担がかかりやすいため、姿勢に注意しましょう。また、運動をすることも腰痛対策には効果的です。
腰痛対策にもなる妊娠中におすすめの運動は以下のコラムで詳しく説明しています。
4.安定期に注意したい病気や症状
(1)後期流産と切迫早産
流産は12週未満が多いですが、まれに12週以降に後期流産が起こることもあります。また、切迫早産とは妊娠22週以降の子宮収縮など早産につながる可能性が考えられる状態をさします。
タバコやアルコールを控える、無理をしない、ストレスを溜めないなどが基本的な対策になりますが、必ずしもはっきりとした原因があるわけではありません。
出血や破水が起きたらすぐに受診しましょう。
また、子宮収縮と思われる腹部の痛みは安静に過ごすことで治まれば急を要することはありませんが、安静にしても治まらなかったり、何度も繰り返す場合には受診してください。
(2)子宮頚管無力症
子宮頚管無力症では、子宮収縮などの症状がなくても子宮の入り口である子宮頚管が開いてしまいます。
無症状であることがほとんどであるため、早期発見には健診をきちんと受けることが大切です。
(3)妊娠高血圧症候群
妊娠中に高血圧になる病気です。症状の程度はさまざまですが、安定期など早い時期に血圧が高くなると重症となることが多いです。赤ちゃんとお母さんの両方に命に関わる大きな影響が出る可能性があり、注意が必要です。
妊娠高血圧症候群のハイリスクは、高齢妊娠や糖尿病、多胎、初産婦、妊娠前からの高血圧や腎臓疾患がある場合などが挙げられますが、当てはまらない方でも発症することがあります。
健診は必ず受けましょう。
(4)妊娠糖尿病
妊娠をきっかけに糖尿病になることがあります。
妊娠糖尿病は、お母さんと赤ちゃんにとって命に関わることがあるため、診断された場合には血糖値を十分に管理する必要があります。
糖尿病の検査は妊婦健診で行われるため、健診をきちんと受けることが重要です。
(5)前置胎盤
前置胎盤とは、胎盤が子宮の下の方に付着している状態をさします。妊娠初期に胎盤が下の方に確認されても、子宮が大きくなるとともに胎盤の位置が上がってくることがあり、最終的な診断は妊娠30週を過ぎてからになります。
しかし、胎盤が子宮の下方についていることで、安定期でも大出血を起こすことがあります。
前置胎盤の可能性をもし指摘されたら、安静に過ごす必要があるかどうかなど、日常生活の注意点を医師によく確認しましょう。
まとめ
「安定期」は言葉通り安定しやすい時期ではありますが、気にかけてほしい点も少なくありません。
自分の体に目を向けて、おかしいな?と感じたら遠慮なく受診しましょう。自身を大切にすることが、赤ちゃんを大切にすることにつながります。
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