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【赤ちゃんへの影響も!?】妊娠中の冷えの原因・チェック・対策 助産師監修

  • #助産師

更新日 2023/12/11

こんにちは!助産師のユイです。これまでに新生児訪問や乳幼児健診、そして子育て支援センターなどで赤ちゃんの成長についてたくさんの相談を受けてきました。このブログでは、最新の研究を元にパパ・ママの心配や疑問に答えます!

今回のテーマは「妊娠中の冷え対策」です。すっかり寒くなって、体が冷えてしまっている妊婦さんも多いのではと思います。今回は、どうして妊娠中は冷えやすいのか、妊娠中の冷えはどんなデメリットがあるのか、先輩ママたちお墨付きの、続けやすくて効果があった方法などをご紹介します!

妊娠中は冷えやすい!あなたの冷えを確認しよう

「私は冷え性とは無縁!」そう思っている方も、実は妊娠中は体が冷えやすいため要注意です。妊娠すると冷えやすくなる理由や、あなたの冷えをチェックしましょう。

妊娠中に冷えやすくなる理由

ここでは、妊娠すると体が冷えやすくなる理由を2点ご紹介します。

妊娠中に冷えやすい理由1)血流が悪くなりやすいため

妊娠中は子宮が大きくなり、骨盤内はぎゅうぎゅうの状態です。そのため下半身から心臓へ戻ろうとする血液の流れが悪くなり、冷えにつながります。

また、お腹が出てくるとその重みで長時間悪い姿勢で過ごすことが多くなって筋肉が固まり、時には痛みを伴います。筋肉は柔軟に伸縮することで血液を巡らせるポンプの役割も果たしているため、筋肉が硬くなると血液の流れが悪くなり体が冷えます。さらに、筋肉の伸縮はそれ自体が熱を生み出しますが、筋肉が硬くなることでその機能も期待できなくなります。

妊娠中に冷えやすい理由2)自律神経が乱れやすくなるため

自律神経とは、内臓の動きを制御する神経です。交感神経と副交感神経の二種類があり、場面に応じて切り替わることで内臓機能やホルモン分泌などを調節します。主にリラックスしているときは、副交感神経の働きで内臓の動きや血液循環が良くなります。

妊娠中は赤ちゃんをお腹の中で育てるために必要なホルモンが分泌されるため、妊娠前と比べてホルモンバランスが大きく変化します。脳のホルモン分泌をつかさどっている部分は、自律神経をコントロールしている部分と非常に近いため、ホルモンの分泌に変化が起こると自律神経も影響を受けやすいのです。自律神経がバランスを崩すと、交感神経が強く働き過ぎて血流を悪くしてしまうため、冷えやすい体になります。

冷えチェックと冷えやすい生活習慣

意外と自分の冷えには気づきにくいものです。ここでは以下のチェックリストで、体が冷えていないか確認してみましょう。

  • 手が冷たい。または手が冷たいと言われる
  • 足の指の血色が悪い
  • お腹が冷たい
  • 平熱が36度未満(※妊娠初期は高くなりやすいです)
  • 皮膚のかさつき、ささくれ、しもやけ、爪の割れなどが起こりやすい

どれかひとつでも当てはまれば、冷えている可能性があります。手足やお腹の冷たさなど自分でわかりにくい場合は、パートナーなどに確認してもらいましょう。むくみや胃腸の不調、足腰のだるさや肩こり、低血圧、ふらつきなどの症状がある方は、冷えが原因かもしれません。また、以下のような生活習慣がある方は、冷えている可能性が高いです。

  • 冷たい飲み物、食べ物が好き
  • 入浴はシャワーで済ませることが多い
  • コーヒー、緑茶、紅茶などカフェイン飲料をよく飲む
  • 冷暖房が強い環境に長時間いることが多い
  • 運動をほとんどしない(歩くことも少ない)
  • 夜更かしが多い、就寝・起床時刻が一定でない

妊娠中の冷えは、自分自身の不調だけでなくお腹の赤ちゃんに影響することもあります。次章からは、その影響を確認し、予防・改善のための対策をご紹介します。

妊娠中に冷えるとどんなデメリットがあるの?

妊娠をしていないときでも、冷え性になると霜焼けやあかぎれになりやすい、内臓機能の低下、感染症にかかりやすい、太りやすい、便秘、むくみ、手足のだるさや肩こりなど不快な症状が多くあります。妊娠中の冷え性はそれらに加えて、さらに以下のようなデメリットがあります。

切迫流産・切迫早産になりやすい

切迫早産の妊婦さんと、正常な経過の妊婦さんを比較したところ、冷え性の有無に有意差(意味のある違い)が認められた研究がいくつかあります。冷え性なら必ず切迫流産・早産になるわけではありませんし、冷え性でなければ切迫流・早産にならないわけではありませんが、冷えるとお腹が張りやすく、冷え性で免疫力が弱まると子宮口が開きやすくなることがあるため、対策が大切です。
※切迫流産のなかでも12週未満の場合は赤ちゃん側の原因であることがほとんどと言われており、冷え性かどうかは無関係と思われます。

お腹の赤ちゃんに栄養が届きにくくなる

妊娠中は子宮の血管が太くなり、お母さんの血液が胎盤・へその緒を通して赤ちゃんに運ばれ、赤ちゃんは酸素と栄養を受け取っています。冷え性になるとお母さんの体の血液循環が悪くなるため、赤ちゃんに栄養が届きにくくなる可能性があります。

マイナートラブルが起こりやすくなる

妊娠中は腰痛、こむらがえり(足がつる)、便秘、むくみなどのマイナートラブルが珍しくありません。冷え性があると、血行が悪く筋肉がかたまりやすいためにこれらのトラブルがさらに起こりやすくなります

【先輩ママたちのお墨付き!】妊娠中の冷えを予防・改善しよう

ここでは先輩ママたちにもおすすめしてきた、妊娠中でもできる冷えの予防や改善方法を①血行と②自律神経のふたつに注目してご紹介します。全部実践するのは難しいかもしれませんが、みんなできることから始めて少しずつ改善していきました。妊娠中のトラブル予防・改善や、出産や産後にも良い影響が期待できます。

血行を良くする

冷えがあると毛細血管が細くなって体の隅々まで血液を届けることができず、さらに冷える悪循環になります。冷えを改善するには、血行を良くすることが重要です。

ウォーキングなどの運動をする

血流改善に最も効果的なのが、運動して筋肉をよく動かすことです。特にふくらはぎは「第二の心臓」とも言われていて、ふくらはぎの筋肉を使うことで血液を循環させるポンプとして働き、下半身の血液が心臓へ戻ることを助けてくれます。そのため、ウォーキングは妊婦さんにお勧めしたい運動です。

また、足先の冷えには足首回しがお勧めです。座った状態で足の指の間に手の指をしっかりと入れて足首を回すと、足の指までよく動かすことができ、つま先まで血流が改善されます。(椅子に座ってもOK!)手の指を入れるときにもし入れづらく感じたら、足の指の筋肉が凝り固まっているサインです。回しているうちに段々と血色がよくなり、足指の筋肉がほぐれていくのがわかると思います。

湯船でしっかりあたたまる

お腹が大きくなってくるとお風呂洗いが大変になるので、シャワーで済ませることが多くなってしまうかもしれません。しかし、血行促進には、湯船で温まることはとても効果的です。水圧によるむくみの改善や、筋肉が温まって柔らかくなるため、腰痛や肩こりの改善も期待できます。またお風呂以外でも、腹帯を使ってお腹を保温、携帯用カイロで腰などを温めるなど普段から体を冷やさないように工夫することも大切です。

水分摂取と食事に気をつける

寒い時期はつい水分摂取を忘れがちです。また、むくみが出てくると水分を控えた方がよいのでは、と考える方も少なくありません。水分が不足すると血液はドロドロになり、流れが悪くなります。お医者さんから水分制限の指示がない限り、意識してしっかりと摂取するようにしましょう。特に温かいノンカフェイン・無糖の飲み物(ほうじ茶、ルイボスティー、白湯など)がおすすめです。麦茶はノンカフェインですが体を冷やす飲み物ですので注意しましょう。

食べ物も、温かいものや体を温める食材を選びましょう。夏野菜や南国で採れるフルーツは体を冷やすものが多いため注意が必要です。フルーツの中でもリンゴは寒い土地で採れるため、体を冷やさないと言われています。体を温める食材は以下のようなものがあります。

・野菜:玉ねぎ、ネギ、ニラ、生姜、にんにく、かぼちゃ、ごぼう、にんじん、イモ類など

・たんぱく質:肉や魚などの動物性たんぱく質が特にお勧めです

自律神経を整えよう

自律神経が乱れると冷えが起こります。①でご紹介した血行を良くする方法は、同時に自律神経も整えます。ここではそれ以外の自律神経を整える方法をご紹介します。

生活リズムを整える

自律神経に大切なのは「一定のリズム」です。起床時間、食事の時間、就寝時間を一定にすることで交感神経と副交感神経が規則的に切り替わり、自律神経が整います。仕事などの都合で生活リズムを一定にするのが難しい場合でも、産休に入ったら意識して整えましょう。

また、妊娠中の生活リズムは、出生後の赤ちゃんの生活リズムに影響するという研究報告もあります。自分自身の体だけでなく赤ちゃんのためにも、起床時間、食事時間、就寝時間を見直してみてはいかがでしょうか。

十分な睡眠時間と質の良い睡眠を心がける

睡眠不足や、質の悪い睡眠は自律神経の乱れにつながります。

個人差はありますが、一般的に理想的な睡眠時間は7時間前後と言われています。妊娠中は体への負担が大きいため、それでは足りないと感じる方も少なくないでしょう。赤ちゃんの低体重を予防するには9~10時間の睡眠が良いとした研究報告もあります個々にとって不足を感じないだけの睡眠時間を確保するのが自律神経のためにも理想でしょう。

また、睡眠時間だけでなく、睡眠の質も重要です。生活リズムを改め睡眠の質を高めようとしても、なかなか眠れないという方も少なくありません。その場合には、起床時間から整えることがおすすめです。まずは決めた時間に起床し、しっかりと朝日を浴びましょう。朝日を浴びるとその14~16時間後に眠るためのホルモンである「メラトニン」が分泌され、良質な睡眠につながります。

また、就寝時間の1~2時間前にぬるめのお風呂(38~40度程度)に15~20分ほど浸かると入眠しやすくなり睡眠の質が上がります。できれば就寝2時間前くらいからはスマホ等の操作をやめられれば理想的です。

まとめ

妊娠すると冷えやすくなる上、冷えはお腹の赤ちゃんにも影響するため、妊娠中の冷え対策は特に大切です。一方、冷え対策はたくさんあるので、急にすべてを改善するのは大変だと思います。できることから変えていき、無理なく継続していくと良いでしょう。妊娠中に冷えを改善しておくと、出産や産後にも良い影響がたくさんあります。ぜひ、今日から体を温める生活を意識してみてください。

監修:ラッキーインダストリーズ

ラッキーインダストリーズは創立1934年の日本で一番歴史ある抱っこひもメーカーです。長い歴史の中、多くの子育てをサポートしてきました。私たちの想いである「AMAZING LIFE WITH BABY」を元に、多岐にわたる社会貢献活動を実践しています。本コラムでの情報発信を通して豊かで実り有る子育てのサポートにつながれば幸いです。

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