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【食育】妊娠中に積極的に食べるべき食品 助産師監修

  • #助産師

更新日 2024/05/14

こんにちは!助産師のユイです。これまでに新生児訪問や乳幼児健診、そして子育て支援センターなどで赤ちゃんの成長についてたくさんの相談を受けてきました。このブログでは、最新の研究を元にパパ・ママの心配や疑問に答えます!

今回のテーマは「妊娠中に食べた方がよい食品」です。妊娠中の栄養摂取は、実は赤ちゃんの成長だけでなく、妊娠・出産のリスクとも関わりがあります。
このコラムでは特に積極的に摂りたい栄養と、食事バランスのチェック方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

葉酸ー妊娠前からたっぷり摂ることがポイント!

葉酸とは?

葉酸は、ビタミンB群に属する必須栄養素です。ビタミンB群にはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類があります

必須栄養素とは、体の中で作り出すことができないため、必ず食べ物から摂取しなければならない栄養素です。しかもビタミンBは「水溶性ビタミン」と言って、一度にたくさん摂取しても余計な分は尿として捨てられてしまうため、毎日食べる必要がある栄養です。

葉酸のはたらき

葉酸のはたらきは以下の通りです。

・赤血球の生産→貧血予防

・動脈硬化の予防

・たんぱく質の合成、細胞の産生→赤ちゃんの成長

・お腹の赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」の予防

妊娠中の貧血予防はとても大切です。貧血になると、酸素を体中に行き渡らせづらくなるため、妊婦さん自身の疲れやすさやめまい症状はもちろん、お腹の赤ちゃんの成長に影響が出ることもあります。また、貧血が重度であると妊娠高血圧症候群や分娩時の異常、分娩時の大出血、産後の体の回復の遅れなどのリスクもあります。

さらに、葉酸は、赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」を予防することがわかっています。そのため、妊娠を希望・予定している場合には、葉酸を妊娠前1か月〜妊娠3か月頃までは特に十分に摂取することを厚生労働省は勧めています。

葉酸の必要量と多く含まれる食べ物

葉酸の必要量は以下の通りです。

出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準 2020年版】

葉酸が多く含まれる食べ物は以下の通りです。

出典:文部科学省【日本食品標準成分表2020年度板(八訂)】

葉酸を多く含む食べ物の上位にある、海苔、わかめ、レバーなどは、葉酸を多く含むものの、妊婦さんには注意が必要な食品です。
海苔、わかめは妊婦さんが摂り過ぎに注意しなければならない「ヨウ素」が多く含まれていること、レバーにも同じく注意が必要なビタミンAが多く含まれているためです。

※妊娠中に注意する食べ物についてはこちらをご覧ください。

上記一覧表からわかるように、葉酸の必要量を食事だけで十分に摂取することは案外難しいかもしれません。例えば枝豆であれば、妊娠中に必要な葉酸480μgは、300g入りの殻付き冷凍枝豆1袋程度に相当します。

もちろん、できるだけ食事から摂取できるよう食生活を見直すことは、妊娠期だけでなく健康的な食生活を送るきっかけにもなるためとても大切です。でも、難しいと感じる場合には、栄養補助食品(サプリメント)も併せて十分に葉酸を摂取することを厚生労働省も勧めています。

葉酸の注意点

葉酸の摂り過ぎについて

葉酸はビタミンBの一種です。ビタミンBは水溶性のビタミンであり、不要な分は尿として排出されるため、基本的には摂り過ぎの心配はありません。ただし、栄養補助食品(サプリメント)で摂取する場合には注意が必要です。サプリメントに含まれる葉酸は食品に含まれるものよりも、体に取り込まれやすい種類が使われていることが多いためです。

葉酸の摂り過ぎによる健康被害の報告は無いものの、亜鉛の吸収を遅らせるなどのリスクがあると言われています。過剰摂取の目安は900~1000μgとされているため、サプリメントであっても用量を守れば摂り過ぎの心配はないでしょう。

サプリメントの選び方

サプリメントは成分をよく確認して選びましょう。葉酸のサプリメントでも、ほかのさまざまな栄養素も含まれていることがよくあります。

例えばビタミンAは、妊娠中に摂り過ぎに注意が必要な栄養素です。特に妊娠初期(3か月頃まで)にビタミンAを摂り過ぎることで、赤ちゃんの体の作りに影響する可能性があります。ビタミンBやビタミンCはもし過剰摂取をしても、水溶性であるため尿として排出されますが、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKは脂溶性ビタミンで、摂り過ぎた分は体に蓄積するため、サプリメント選びは十分注意しましょう。心配な場合は、医療機関で相談してから利用しましょう。

鉄分ー妊娠中期以降に必要な量が一気に増える!

鉄分とは

鉄はミネラルのひとつで、人の体には欠かせない栄養素です。鉄は体内で再利用もされますが食事などから補充しなければ不足するため、十分に摂取することが大切です。

鉄のはたらき

赤血球に含まれるヘモグロビンは血液中で酸素を全身に運ぶ役割を担っており、鉄はヘモグロビンの材料になります。そのため、鉄が足りなければヘモグロビンが不足し、酸素を全身に十分に運ぶことができなくなります。それが「鉄欠乏性貧血」(いわゆる貧血)です。全身の酸素不足で息切れが起きたり、それを補おうと心臓は血液をたくさん送り出そうとするため、脈が増え、疲れやすくなる、ふらつくなどの症状が出ます。

特に妊娠中は、お腹の赤ちゃんに血液を送りやすくしたり、出産時の出血に備えるなどのため、血液量が増えます。そのため、ヘモグロビンの濃度は相対的に薄くなり、貧血になりやすい状態です。

妊娠中の貧血は、先に挙げたような症状だけでなく、以下のような妊娠中・分娩時の合併症のリスクになったり、赤ちゃんにも影響が出ることがあります。

お腹の赤ちゃんの成長に影響が出ることがある

切迫早産のリスク

微弱陣痛

・分娩時の大量出血

・分娩時の母親の感染症のリスク

鉄の必要量と多く含まれる食べ物

鉄の必要量は以下の通りです。

※参考:厚生労働省【日本人の食事摂取基準 2020年版】

女性は月経によって鉄を失うため、多くの鉄を摂取する必要があります。妊娠すると月経がなくなるぶん、初期には推奨量は減りますが、妊娠が進むにつれてお腹の赤ちゃんの成長や胎盤などに貯める分、お産に向けてお母さんの血液量も増えることから必要な鉄の量が一気に増えます。

妊娠前や妊娠初期の段階で貧血があると、中期以降に一気に貧血が進んでしまうリスクがあるので、早いうちから鉄の摂取を気にかけましょう。

鉄が多く含まれる食べ物は以下の通りです。

出典:文部科学省【日本食品標準成分表2020年度板(八訂)】

鉄は「ヘム鉄」「非ヘム鉄」の二種類があります。それぞれの吸収率は、ヘム鉄の吸収率は約50%、非ヘム鉄は15%(妊娠していないとき)程度で、ヘム鉄から鉄を摂った方が効率が良いことがわかっています。ただし妊娠中期以降は非ヘム鉄の吸収率は40%まで上昇します。そして、出産するとその吸収率は元に戻ります。また、非ヘム鉄は、ビタミンCやたんぱく質と一緒に食べると吸収率が上がります。工夫して食べるようにしましょう。

鉄の注意点

鉄の摂り過ぎについて

鉄は妊娠中にもとても大切なミネラルです。とは言っても、摂れば摂るほど良いわけではなく。 鉄の過剰な蓄積は多くの慢性疾患の発症を促進することが報告されています。

鉄の摂取は 40 mg/日までとされており、食事だけでこれだけの鉄を摂取することはほぼないと思いますが、鉄のサプリメントを服用する場合には必ず用量を守りましょう。また、レバーの食べすぎにはビタミンAの過剰摂取のリスクがあるため注意しましょう。

サプリメントの選び方

葉酸のサプリメント同様、ほかの栄養素が含まれている場合には内容に注意しましょう。

妊娠中はバランス良く食べることが基本!

ここまで、妊娠中に特に注意して摂りたい「葉酸」と「鉄」について紹介しました。とは言え、ほかの栄養が必要ないわけではありません。

例えばカルシウムは、妊娠中には吸収率が上がるため、推奨される摂取量は妊娠前と変わりません。しかし、そもそも日本人のカルシウム摂取量自体がとても少ないため妊娠前から多く摂取できるよう食生活を改善することが大切です。

誰にでも当てはまることですが、特に妊娠中は、特定の栄養素に偏るのではなく注意の必要な栄養に気をつけつつ、さまざまな栄養をバランスよく摂ることが基本です。細かく計算する必要はありませんが、自分の栄養バランスを振り返る際には以下の「食事バランスガイド」が簡単で参考になります。

出典:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所

「食事バランスガイド」は、一日に必要な栄養について、イラストで直観的に確認できるように作られています。詳しくはこちらをご確認ください。

一方で、特に妊娠初期はつわりのため、栄養を気にしていられないことも少なくありません。そんなときには「食べられるときに食べられるもの」を摂取するのが基本です。お腹の赤ちゃんはまだとても小さく、お母さんがこれまでに貯めた栄養で育つことができるため、無理に栄養を摂る必要はありません。ただし、水分も摂れない、急激に体重が減少するなどの場合は必ず受診しましょう。できれば、妊娠を考え始めたタイミングで食生活を改善しておくと、安心です。

まとめ

いかがでしたか?妊娠中の栄養は、赤ちゃんの成長はもちろん、妊娠・出産のリスクの低下などお母さんのためにもとても大切であることがおわかりいただけたと思います。「妊娠中に注意が必要な食べ物・飲み物」と併せて読んでいただき、赤ちゃんとお母さんの健康に役立てていただけると嬉しいです。

監修:ラッキーインダストリーズ

ラッキーインダストリーズは創立1934年の日本で一番歴史ある抱っこひもメーカーです。長い歴史の中、多くの子育てをサポートしてきました。私たちの想いである「AMAZING LIFE WITH BABY」を元に、多岐にわたる社会貢献活動を実践しています。本コラムでの情報発信を通して豊かで実り有る子育てのサポートにつながれば幸いです。

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