こんにちは!助産師のユイです。これまでに新生児訪問や乳幼児健診、そして子育て支援センターなどで赤ちゃんの成長についてたくさんの相談を受けてきました。このブログでは、最新の研究を元にパパ・ママの心配や疑問に答えます!
今回のテーマは「妊娠線」です。妊娠線は一度できると完全に消すことは難しいため、できるだけ予防したいですよね。このコラムでは、妊娠線ってそもそも何なのか、できやすい人や予防方法などをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
妊娠線とは?
妊娠線とは、妊娠中の大きくなったお腹に縦の線ができたものです。妊娠中にお腹が大きくなると、お腹の皮(表皮)は一緒に伸びます。表皮はよく伸びますが、その下にある真皮や皮下組織は表皮ほどは伸びないため、それらが裂けて妊娠線となります。
さらに、妊娠中は「ステロイドホルモン」というホルモンが増加します。ステロイドホルモンの作用で肌の弾力が減少するため、余計に皮膚が断裂しやすくなっていることも妊娠線ができる一因です。
もくじ
妊娠線は妊娠すれば必ずできるわけではなく、できない人もいます。
妊娠線はお腹以外にもでることがあります。急激に皮下脂肪が増えるとその部分の皮膚が引き伸ばされ、妊娠線がでるリスクが高くなります。妊娠線の色は時間と共に変化します。できてすぐの頃はピンク~赤紫色をしていますが、時間の経過とともに黒っぽくなっていき、産後は白っぽくなります。産後は妊娠中よりは目立たなくなりますが、完全に消えることはありません。そのため予防が大切ですが、予防していてもできることはあります。
妊娠線と間違えやすいものとして「正中線」があります。
正中線はおへその上下に縦まっすぐの線ですが、妊娠中のホルモンによって濃く目立つようになります。妊娠線とは違い、産後にホルモンが落ち着くことで正中線は元に戻るので安心してください。
妊娠線はいつからできる?できやすい人・できやすい部分は?
ここでは、妊娠線ができやすい時期やでやすい人、お腹以外のできやすい部分について解説します。
妊娠線はいつからできることが多いか
妊娠線は、お腹が大きくなる際に皮膚の伸びが追いつかずに裂けたものです。個人差はありますが、お腹が目立ち始めるのは妊娠5か月(16週)頃からが多く、8か月以降は赤ちゃんの体重がぐっと増え、お腹も急激に大きくなる時期になります。そのため妊娠8か月以降、特に臨月に妊娠線がでてくることが多いと言われています。
妊娠線ができやすい人ってどんな人?
妊娠すれば誰にでも妊娠線ができるリスクはありますが、特にできやすいのは以下のような人です。
①もともとが小柄・痩せている人
もともと小柄・痩せている人は妊娠前と比べてお腹の皮膚が大きく伸びることになります。
そのため、妊娠線ができやすいです。
②お腹が大きくなる時期や体重が急激に増えたタイミングが乾燥する時期に重なる人
皮膚は乾燥すると伸びが悪くなります。そのため、お腹が大きくなる時期・急激に体重増加したときに肌が乾燥していると、妊娠線ができやすくなります。
乾燥肌の方は特に注意しましょう。
③高齢出産の人
一般的に加齢によって皮膚は伸びが悪くなるため、妊娠線ができやすくなります。
④経産婦
経産婦さんは初産婦さんよりもお腹が大きくなることが多く、大きくなるスピードも早いです。そのため、最初の妊娠で妊娠線ができなかった人でも、2人目以降の妊娠で妊娠線ができやすくなります。
⑤お腹の赤ちゃんが大きい・双子や三つ子の妊娠
お腹の赤ちゃんが大きいと、その分お腹も大きくなるため妊娠線ができやすくなります。また、双子や三つ子を妊娠している場合はさらにお腹が大きくなるため妊娠線がでるリスクは高いです。
妊娠線ができやすい部分は?お腹だけでなく太ももにも!
妊娠で最も皮膚が伸ばされるのはお腹ですが、妊娠線はそれ以外の部分にもできることがあります。例えば、胸は妊娠中から授乳に向けて急激に大きくなります(乳腺が発達するため)。すると胸の皮膚が引き伸ばされて、胸に妊娠線がでることがあります。
また、妊娠中は分娩や育児に向けて、お腹以外にもさまざまな部分の皮下脂肪が増加します。そのため皮下脂肪が特に溜まりやすい以下の部分の皮膚が引き伸ばされ、妊娠線ができやすくなります。
・二の腕~脇
・お尻
・足の付け根~太もも
妊娠線のケア方法〜予防はいつからが効果的?
妊娠線は、一度できてしまうと完全に消すことは難しいため、予防が重要です。ここでは妊娠線を予防または軽くする方法を紹介します。
体重増加に注意
急激な体重増加によって皮下脂肪が増えることで、よりお腹の皮膚が引き伸ばされて妊娠線のリスクが高まります。そのため、適度な体重増加にとどめることが妊娠線の予防として大切です。また、体重コントロールは妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などを予防するためにも重要です。
食べすぎに注意することはもちろんですが、体調が許す限り運動する習慣づけをしておくと、出産や育児に向けた体力作りにもなります。一般的に妊娠中の運動は12週以降がよいとされています。必ず主治医に確認してから始めましょう。
妊娠中の運動については以下の記事も参考にしてください。
【イラストで解説!】妊娠中におすすめの運動とフィットネスについて 助産師監修
栄養・水分摂取量を見直す
伸びの良い柔らかい肌作りには、栄養や水分摂取が大切です。つわりなどの時期は難しいですが、体調が許す限り栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。また、お肌の健康には十分な水分摂取も重要です。
妊娠中の食事については以下の記事も参考にしてください。
保湿|ローション・クリーム・オイル
妊娠線は、お腹が大きくなる際に皮膚の伸びが追いつかなくなることでできます。そのため、お腹の皮膚の保湿によって乾燥を防ぐことで、伸びのよい状態を保つことが妊娠線の予防に有効です。また、体の保湿はかゆみの予防・改善にも効果的です。妊娠線の予防のためのスキンケアとしては、ローションやクリーム、オイルが代表的です。
保湿の基本は「水分」と「油分」です。例えばオイルはお肌の水分を逃がさないための「蓋」になりますが、そもそもお肌の水分が不足している場合にはオイルを塗る前にローションなどで水分を与える必要があります。また、逆にローションだけではせっかく与えた水分がすぐに蒸発してしまうため、蓋としての油分が必要なケースが多いです。
クリームは潤いを与えながら蓋としての役割を果たしてくれます。テクスチャーやお肌との相性と併せて、潤いと保湿力が十分かどうかを確認しながら使いましょう。
保湿については始めるのが早すぎるということはありません。早いうちから柔軟なお肌作りをしておくことをおすすめします。できればお腹が大きくなり始める妊娠5か月ごろまでには初めておきたいです。ただし切迫流早産など安静が必要な場合などは、必ず主治医に確認しましょう。
マッサージ
妊娠線予防のクリーム等を塗る際に、マッサージも組み合わせることでより効果がアップします。また、マッサージは妊娠線予防だけでなく、むくみの予防・改善にもおすすめです。ただし、特にお腹のマッサージは切迫流早産等注意が必要な場合もあるため、必ず主治医に相談してから始めましょう。
クリーム等を手のひら全体にのばして、体温で人肌にあたためてから行うとより浸透しやすくなります。力を入れ過ぎず、表面のリンパを流すイメージで優しくマッサージしましょう。
①お腹のマッサージ
・お腹全体を手のひら全体で時計回り・反時計回りになでる
・お腹の下(恥骨のすぐ上)からお腹の両脇を手のひら全体でなでる
※特にお腹の下部分は妊娠線ができやすい一方で、見えづらいためマッサージや保湿が手薄になりがちなので注意しましょう。
②足の付け根(そけい部)のマッサージ
足の付け根の恥骨側から外側へと、ぐるぐると小さい円を描きます。
③胸のマッサージ
バストトップ付近よりも胸の付け根部分に妊娠線がでやすいので、その部分を重点的にマッサージしましょう。
※胸はマッサージするとお腹の張りにつながることもあります。必ず医師に確認した上で行うこと、マッサージ中には張りがないか注意しながら行いましょう。無理はしないでください。
④もも裏~お尻のマッサージ
もも裏からお尻へ、下から上へと手を滑らせながらマッサージしましょう。
腹帯
腹帯でお腹を支えると、重力で皮膚が余計に伸ばされることを防ぐため、妊娠線の予防になります。お腹が大きくなり始める5か月頃から支えておくと良いでしょう。
妊娠線を消すことはできる?
さまざまな対策をしても、妊娠線を完全に予防することは残念ながら難しいです。ここでは妊娠線ができてしまった場合について考えます。
妊娠線ができかけていることに気づいたら
妊娠線が出始めている部分には、保湿やマッサージをこまめに行うようにしましょう。妊娠線がさらに広範囲に広がったり、濃くなることを予防できる可能性はあります。
産後に妊娠線を消すことはできる?
妊娠線は、できたときには赤紫色で目立つためショックを受けるかもしれませんが、産後は白っぽく、時間と共に薄れていきます。数年後にはほとんど気にならないという方も少なくありませんが、完全に消すことは難しいです。皮膚の健康を保つことで治癒力も高まるので、できてしまってからも保湿やマッサージ、栄養など妊娠線予防と同様の内容を続けましょう。
それでも気になる場合や早く薄くしたい場合には、美容皮膚科でレーザー治療などを受けることもできます。ただし保険適用外のため費用は高額です。また、レーザー治療でも思っていたほど完全には消えない場合もあります。よく説明を聞いてから決めましょう。
まとめ
いかがでしたか?妊娠線は完全に消すことは難しいため、予防が大切です。また、予防のための体重コントロールやマッサージは、妊娠線予防だけでなく妊娠中の健康維持やトラブル予防にもつながるため、体調に問題がない限り積極的に行いましょう。ぜひ、今日から始めてみてください。
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