こんにちは!
助産師のユイです。
これまでに新生児訪問や乳幼児健診、そして子育て支援センターなどでたくさんの相談を受けてきました。
このブログでは、最新の研究を元にパパ・ママの心配や疑問に答えます!
今回のテーマは「赤ちゃんの虫歯リスクを下げる!」です。
歯磨きはもちろん大切ですが、ほかにも虫歯リスクを下げる方法はたくさんあります。また、ママやパパから寄せられるよくある疑問にもお答えします。
ぜひ参考にしてください。
虫歯リスクを下げる歯磨き以外の方法
歯磨きはとても大切ですが、実は歯磨き以外にも虫歯予防に重要なことはたくさんあります。
ここでは、歯磨き以外で虫歯のリスクを下げる方法を紹介します。
虫歯リスクの高い食べ物・飲み物を避ける
酸性(phが低い)の飲み物は、歯が溶けやすく虫歯リスクが高いです。
酸性の飲み物は、たとえば経口補水液を含むイオン飲料(スポーツドリンク)や果汁100%を含むジュース類があります。イオン飲料は基本的には不要ですが、飲むとしても極端に汗をかいたときの特別な飲み物としましょう。また、下痢・おう吐などで脱水がある場合には必要に応じて経口補水液を飲ませます(スポーツドリンクではなく経口補水液がおすすめです)が、症状が軽快したら水やお茶に切り替えましょう。
特に虫歯になりやすい食べ物は、甘いおやつ類です。以下は主なおやつを虫歯リスク別にまとめました。
虫歯リスクの高いおやつはできるだけ避けましょう。
食べる回数を増やし過ぎない
食事のたびに、お口の中は虫歯になりやすい酸性に傾きます。
たとえば3回食を始めた赤ちゃんは3回の食事のほかにも、午前・午後のおやつや1日何回かは授乳をしていることが多いでしょう。赤ちゃんは3回の食事だけで十分な栄養を摂ることが難しいので、これだけの回数を食べたり飲んだりするのは必要なことです。
一方、食事と食事の合間に何度もおやつを食べたり、ダラダラと時間をかけて食べると、それだけお口が酸性に傾く回数や時間が増えます。
もし、のどが渇いたときにイオン飲料やジュースを飲めば、虫歯リスクはさらに上昇します。
おやつは何度もあげず1日2回程度まで、飲み物は原則お水とお茶のみとし、虫歯リスクが高くなる回数を抑えましょう。
1歳を過ぎたら哺乳瓶をやめることを検討する
赤ちゃんのときには当たり前に使っていた哺乳瓶ですが、哺乳瓶は飲むのに時間がかかるため虫歯リスクが高くなります。
ごはんをしっかり食べられているのであれば、ミルクの量や回数を徐々に減らし、哺乳瓶を卒業する方向に進めましょう。代わりに、食事やおやつで牛乳を取り入れましょう。
ミルクを減らすのが難しい場合は、哺乳瓶でなくコップやストローで飲むように少しずつ切り替えていくことをおすすめします。
また、寝入る際の哺乳瓶授乳は虫歯リスクが非常に高いため、別の寝かしつけ方法に変えていくことも大切です。
定期的に歯医者さんに診てもらう
赤ちゃんの歯磨きを完璧におこなうことは、実際にはなかなか難しいものです。一方で、乳歯は虫歯菌から歯を守るための「エナメル質」が永久歯の半分程度の厚みしかないため、虫歯になりやすいです。
歯が生え始めたらかかりつけの歯医者さんを探し、定期的に健診を受けることをおすすめします。また、特に複数の歯が生えると歯と歯の間に虫歯ができやすくなるため、1歳頃までには歯医者さんに通い始めましょう。
また、歯磨き粉など虫歯予防のためにフッ素が添加された商品が多く市販されていますが、フッ素は濃度が重要です。一般的な市販品は濃度が低く効果を十分に得られないことが多く、逆に濃度が高すぎると歯だけでなく全身に影響する可能性があり危険です。
フッ素を安全・効果的に利用するには、歯医者さんに相談することが一番です。
周囲からの感染を防ぐ
虫歯は菌による感染症です。赤ちゃんに感染させないためには、周囲の人たちも虫歯予防や治療を徹底することが効果的です。
ここまで紹介した虫歯リスクを下げる方法は赤ちゃんだけでなく周囲の人たちもぜひ実行しましょう。
また、虫歯の菌を赤ちゃんに感染させないためにお箸や食器などを共有しない方が良いと言われていましたが、最近の研究では以下のようなことがわかっています。
- 虫歯の菌は離乳食が始まる前である生後4か月ごろには親から子へ伝搬している(おそらく日々のスキンシップで感染していると思われます)
- 食器の共有に気をつけていても、子どもの虫歯に差がなかった
(引用:乳幼児期における親との食器共有について 一般社団法人日本口腔衛生学会 )
食器の共有の有無に力を入れるよりも、大人が虫歯治療をしたり食生活を見直すことの方が効果的かもしれません。
赤ちゃんの虫歯・歯磨きQ&A
ここでは赤ちゃんの歯磨きや虫歯に関するよくある疑問にお答えします!
Q1:乳歯はどうせ抜けるのになんで虫歯はダメなの?
赤ちゃんの歯を虫歯にしたくない!という気持ちはあっても、「でも、どうせ抜けるのになんでダメなんだろう?」という素朴な質問をされることがよくあります。
理由は、赤ちゃんのお口に虫歯の菌が多いと、永久歯も感染する可能性が高くなるためです。
1章で、赤ちゃんに虫歯菌を感染させないよう、周囲の大人が虫歯治療を受けることが重要であることを説明しました。同様に、乳歯でも赤ちゃん自身の虫歯治療をすることで、お口の中の虫歯菌を減らすことができ、永久歯を守ります。
Q2:よだれ(唾液)が多いと虫歯になりにくい?
赤ちゃんのよだれの量はとても個人差が大きいですね。
よだれが多いと、スタイを頻繁に交換したり、お口まわりが赤くなりやすいのでケアが大変なこともありますが、お口の環境にとっては良いことづくめです。
よだれは虫歯菌を洗い流してくれるだけでなく、以下のような作用で虫歯になりにくいお口環境が整いやすくなります。
- よだれ自体の殺菌作用で虫歯菌をやっつけてくれる
- 虫歯菌によって溶け始めた歯を元に戻す力がある
- 口の中を酸性から中性に近づける作用がある(酸性だと虫歯になりやすい)
ただし、よだれが多ければ虫歯にならないわけではありませんので、歯磨きをはじめとした虫歯予防が重要なことは変わりません。
Q3:虫歯になりやすい子、なりにくい子がいる?
虫歯のなりやすさは、歯磨きをはじめとしたケアや食生活、上述した唾液の量のほかに、歯の質でも変わります。
歯の表面には「エナメル質」という硬い組織があり、虫歯だけでなくさまざまな衝撃から歯を守っています。

でも、エナメル質の厚さ・強さは個人差が大きく、薄い・弱いタイプであれば虫歯になりやすいと言えます。
また、乳歯は永久歯に比べてエナメル質の厚さが半分程度なので、乳歯である限り歯の質としては虫歯になりやすいです。
大人だと、歯並びも磨きやすさに関わるため虫歯と大きな関連がありますが、乳歯は一般的にはスカスカに並ぶのでこの心配は少ないでしょう。
Q4:虫歯を見つけてから歯医者さんに行けば十分では?
乳歯の虫歯は、白いまま進行することが少なくありません。また、歯磨きの際にお口の隅々までチェックできれば良いのですが、実際にはなかなか難しいでしょう。
そのため、歯が生えてきたら1歳ごろまでにはかかりつけの歯医者さんに通い始めることをおすすめします。
虫歯になってしまってから通い始めると、「歯医者さん=嫌なことをする場所」になりやすいですが、予防の段階であればお口の中のチェック程度から始められるのでハードルが低く済みます。磨き残しなどもチェックしてもらえるので、日々のお口ケアにも活かせます。
また、定期的に通うことで虫歯を早期発見できます。Q3でご紹介したように赤ちゃんの歯はエナメル質が薄いため、虫歯の進行が早いという特徴があります。早期発見することでお口の中の虫歯菌を最小限にとどめることが期待できます。
Q5:無理やり歯磨きをすると余計に嫌いになるから、嫌がったときはしなくても良い?
残念ながら、さまざまな工夫をしても歯磨きを嫌がるようになることは少なくありません。それでもお口の環境を守るためには、虫歯予防は大切です。
歯を磨く際のおもちゃや動画、電動歯ブラシなど赤ちゃんが喜ぶグッズの使用や、楽しめる環境づくり、力を入れ過ぎない、時間をかけ過ぎないなどの工夫を、手を変え品を変え試してみてください。
歯磨きのポイントは下記のコラムでも紹介しています。
【虫歯予防は生まれる前から!】赤ちゃんの歯磨きの始め方と習慣化のポイント
また、毎日忙しい中で欠かさず磨くことが難しくなることもあるでしょう。歯磨きはもちろん大切ですが、1章でご紹介した歯磨き以外の虫歯予防策など、総合的にお口の環境を守っていけるよう生活等を整えていくことも立派な虫歯予防です。ぜひこれらも検討してみてください。
まとめ
赤ちゃんの歯を守るには、歯磨き以外にもいろいろな方法があることを紹介しました。特に、食生活の見直しや、周囲の大人が虫歯等の治療を済ませておくことは、赤ちゃんだけでなく家族で健康的に暮らすためにとても大切です。
赤ちゃんの健康を守ることを通して、大人も自分の健康について振り返る機会にしましょう。
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