赤ちゃんがぜん息で辛そうにしているのを見ると、親としては少しでもきつさを和らげてあげたいと思うでしょう。まだ1歳になっていない場合でも、ぜん息の発作が起きてしまう赤ちゃんもいます。
赤ちゃんのぜん息に対して、のみ薬や吸入薬による治療が行われる可能性があります。急に説明されても、なかなかうまく薬を飲ませられなかったり、吸入させられなかったりするかもしれません。
この記事では、薬剤師であるひかりが、赤ちゃんのぜん息で使用する薬や、吸入をするときのポイントを解説していますので、参考にしてみてください。
赤ちゃんのぜん息
赤ちゃんのぜん息の症状や治療について解説しています。長く咳をしているので風邪かなと思っていたけれど、熱もないし鼻水もほとんどない場合は、ぜん息かもしれません。ぜん息は風邪の症状と似ているため、普段から赤ちゃんと一緒に過ごしているパパやママも、はじめはなかなかわかりづらいでしょう。
赤ちゃんのぜん息
ぜん息は、風邪のような感染症と違い、気道が慢性的に炎症を起こしている状態です。粘膜が腫れて痰が多くなり、通常から気道が狭くなっています。ぜん息の場合、ダニやほこりなどのアレルゲンや、たばこや煙、冷気などの刺激を受けると過敏に反応し、ぜん息の発作を引き起こしてしまうと考えられています。
ぜん息の症状として、以下のような様子がみられます。
- 息を吐くときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音がする
- 息をするときに、胸のろっ骨や鎖骨のあたりがへこむ
- 夜中から朝方にかけて咳が出やすい
- 激しい咳で眠れない
- 機嫌が悪い時間が長い
- 顔色が悪い
- 母乳やミルクを飲まなくなる
ぜん息だけでは鼻水はでませんが、アレルギーによる鼻炎も併発していると、鼻水が出ることあります。ただ、感染症ではないので鼻水の色は黄色ではなく、白から透明であることが多いでしょう。
風邪をひいた後にぜん息の症状が出ることもあるため、症状が重なり、なかなか判断が難しいこともあります。風邪は1週間程度で治る場合がほとんどですが、ぜん息は発作を繰り返します。気になる症状がある場合は、診察を受けるようにしましょう。
治療
ぜん息はきちんと治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、発作を予防できます。
ぜん息を悪化させる原因の除去
ぜん息の発作を引き起こす原因は、人によってさまざまです。ぜん息を悪化させる原因を除去することも非常に重要です。赤ちゃんのぜん息を悪化させないために、気を付けるポイントをご紹介します。
- 受動喫煙をさせない
- 線香や花火などの煙を避ける
- 扇風機やエアコンによる風が直接当たるのを避ける
- ほこりやダニをためないようにこまめに掃除をする
- ほこりがたまらないように、扉付きの棚や引き出しに、家電やおもちゃなどを収納する
- カーテンは洗濯しやすいものを選び、布製の家具や敷物を少なくする
- 湿気をコントロールしつつカビ対策を行う
- 毛の長い動物の飼育や接触を避ける
薬による治療と並行して、原因の除去にも注意しましょう。
ぜん息発作を予防する薬(コントローラー)
ぜん息発作を予防するために、毎日のんだり吸入したりする薬があり、それらをコントローラーと呼びます。続けて薬を使用することで、気道の炎症を抑え、発作が起きにくくなります。発作が起こらないからと言って、自己判断で薬をのむのをやめてはいけません。
コントローラーには、ステロイドやロイコトリエン受容体拮抗薬などがあり、ぜん息の状態に応じて薬を使い分けたり併用したりします。ステロイドは吸入薬として使用することで、気道に対する作用が主になり、全身に対する作用は少なくなります。上手に吸入し、ぜん息の発作を予防しましょう。
(h4)ぜん息発作のときに使用する薬(リリーバー)
ぜん息発作のときに使用する薬は、呼吸がしやすくなるように気管支を拡張してくれる薬で、リリーバーと呼ばれています。吸入薬やのみ薬などがあり、自宅で使用して様子をみる場合もあります。ただ、症状がひどい場合やなかなか改善しない場合は、リリーバーの使用と並行して医療機関で診察を受けるようにしましょう。
赤ちゃんが使用する吸入機器
赤ちゃんに薬を吸入してもらうには、マスクタイプのネブライザーや、マスク付きのスペーサーを使用するとよいでしょう。マスクタイプ以外にマウスピースタイプもありますが、マスクタイプの場合、自分で吸入口をくわえたりせずに、呼吸と同時に薬を吸入できるので、赤ちゃんに吸入させる場合におすすめです。
はじめは、赤ちゃんも吸入を怖がったり嫌がったりするかもしれません。ぜん息の赤ちゃんは、吸入と長く付き合っていかなければならない可能性が高いと言えます。見守りの下で吸入器や補助具に触れさせたり、家族が使っている様子を見せたりして、できるだけ日常から吸入に対する恐怖心を取り除いてあげるようにしましょう。
それぞれの特徴をみていきましょう。
ネブライザー
ネブライザーは薬を霧状にしてくれるため、吸い込む力が弱い赤ちゃんでも、自然呼吸によって薬の吸入が可能になります。薬液をネブライザーに自分でセットするため、薬の量の調節もできます。確実に薬を吸入でき、操作も難しくはありませんが、吸入が終わるまでに少し時間がかかります。
ネブライザーを使った吸入のポイント
マスクタイプのネブライザーを使った吸入におけるポイントをご紹介します。
- 赤ちゃんの体勢が不安定にならないように、しっかり抱きかかえて吸入する
- マスクは鼻と口をしっかりおおう
- ネブライザーの薬液ボトルを傾けないようにする
- 泣いたりして機嫌が悪い時はしばららく様子をみて、リラックスし安定して呼吸できる状態になるまで待って再開する
- ステロイドを吸入したあとは、口の中のうがいをするか、水を飲む
スペーサー
吸入器には、ネブライザー以外に、エアゾールを吸い込むスプレー式の吸入器と、粉末状の薬を吸入する吸入器があります。2歳以下の赤ちゃんの場合は、吸い込む力が強くないため、スプレー式の吸入器を用いることが多いでしょう。
スプレー式の吸入器では、ボタンを押すとガスの圧力で薬が噴霧されるので、それに合わせて息を吸い込む動作を行う必要があります。ただし、赤ちゃんの場合、タイミングを合わせて一気に吸い込むことが難しく、そのような場合には吸入器にスペーサーという吸入補助具を装着して使用します。
噴霧された薬がスペーサー内に噴射されるため、スペーサーに取り付けたマスクを装着した後5回もしくは15秒ほどゆっくり呼吸をすることで、薬を吸入できます。ネブライザーのような装置が不要で、吸入に時間がかかりません。ただし、吸入器から薬を噴霧した後は速やかにマスクを装着して吸入する必要があり、タイミングが重要になってきます。
スペーサーを使った吸入のポイント
マスク付きのスペーサーを使って吸入するときのポイントをご紹介します。
- 吸入器をスペーサーに正しい向きで装着する
- 姿勢をよくして、スペーサーを水平にして吸入する
- ステロイドを吸入したあとは、口の中のうがいをするか、水をのむ
赤ちゃんとタイミングを合わせて吸入できるようになったら、スペーサーを使った吸入も試してみましょう。
まとめ
赤ちゃんのぜん息で使用する薬や、吸入のポイントについて解説してきました。
赤ちゃんは、じっとしておくことが難しかったり、泣いていやがったりするかもしれません。はじめは、赤ちゃんに吸入させることが難しいと感じるパパやママも少なくないでしょう。しかし、慣れるとコツがつかめてきますので、無理のないように、ぜん息の発作の予防を続けていくことが重要です。
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