こんにちは!
助産師のユイです。
これまでに新生児訪問や乳幼児健診、そして子育て支援センターなどでたくさんの相談を受けてきました。
このブログでは、最新の研究を元にパパ・ママの心配や疑問に答えます!
今回のテーマは「お腹の張り」です。
「お腹張ってない?」「張ったら休んでね」と言われることも多いですが、特に初産婦さんは「張るってどんな感じ?」と疑問に思うことでしょう。
この記事では、先輩ママから教えてもらった張ったときの感覚や、妊娠初期・中期・後期別の張りの原因や注意点などをまとめました。
ぜひ参考にしてください。
1.先輩ママに聞く!「お腹が張る」ってどんな感じ?
妊婦健診ではほとんどの方が「お腹は張りませんか?」と聞かれたことがあると思います。でも張った状態を経験・感じたことがなければ「張るってどんな感じ?」と思いますよね。
ここでは先輩ママたちが感じた「お腹が張る」感覚をご紹介します。
・お腹の中にガスが溜まって膨らむ感じ
・子宮が「キュー」って縮こまる感じ
・下腹を手で触ると子宮の形や硬さがわかる感じ
・バレーボールくらいの硬さになった
・お腹の中に風船が入っているみたい
・お腹がカチカチ
・お腹がチクチクする感じ
・ふにゃふにゃだった子宮が、急に「キュー」っとしぼんで硬くなる
・お腹がピキーンって張り詰める、突っ張っている感じ
・締め付けられる感じ
・下腹が重苦しくなる
・生理痛みたいな鈍い痛み
でも実は、妊婦健診で助産師さんに「張ってますね」と言われたけれど、自分では全然気が付かなかった、という声も少なくありません。
お腹の張りは直接触れて硬さで判断(34週以降はNSTでも判断可能)するので、妊娠したら、普段から自分のお腹を触って柔らかさを覚えておくと良いでしょう。
※NST
ノンストレステストの略。妊婦さんに「分娩監視装置」をつけ、子宮収縮の有無や頻度、強さなどを調べます。赤ちゃんの心拍数もわかります。
2.妊娠期間別のお腹の張りの原因|大丈夫なの?それとも問題あり?
1)妊娠初期のお腹の張り|~妊娠15週
妊娠初期に感じるお腹の張りは、子宮が急激に大きくなることによる違和感や重みからくるものであることが多いでしょう。
子宮は靭帯によってお腹の中の定位置に固定されています。子宮が成長することで靭帯が引き伸ばされ、それが違和感や時には痛みとして感じることがあります。
また、つわりで消化器官全般の不快感が張りのように感じることもあります。
子宮筋腫がある場合には、特に妊娠初期はお腹の張りを感じやすいかもしれません。妊娠したことによるホルモンによって、20週ごろまでは筋腫は大きくなることが知られています。そのためお腹の張りや違和感、痛みなどにつながる可能性があります。
(2)妊娠中期のお腹の張り|妊娠16週~27週
中期は胎盤が完成しつわりも落ち着く方が多いため「安定期」と呼ばれることも多い一方で、切迫早産・早産に注意が必要な時期です。
子宮は筋肉でできていて、たとえば以下のような刺激で収縮することがあります。
・冷え
・精神的なストレス
・疲れや寝不足
・乳頭マッサージ
・性行為
・便秘
・感染症
一方で、お腹が張る原因がわからない場合も多いです。一般的に、第1子の妊娠中にお腹が張りやすかった妊婦さんは第2子でも同様になりやすいという傾向はあります。
お腹の張りは、生理的なものや一時的なものも少なくありませんが、時には子宮の入り口をしっかり閉じている「子宮頚管」が短くなり切迫早産につながったり、場合によってはそのまま陣痛となることもあります。
外出先なら座って休憩する、自宅なら横になるなど体を休めることで張りが消えれば、急を要することは無く、ひとまず安心です。
また、お仕事中に休憩を言い出しづらい場合は、母子手帳に付いている「母性健康管理指導事項連絡カード」の利用を検討しましょう。医師に記入してもらった上で職場にカードを提出すれば、仕事内容や時間などさまざまな配慮を相談しやすくなるかもしれません。
休んでも張りがおさまらない、一度おさまっても動くとすぐに張ってしまう、張ったときの痛みが強い、お腹が異常に硬い、出血を伴っている、などがあればすぐに受診しましょう。
(3)妊娠後期のお腹の張り|妊娠28週~出産
体がお産の準備を始めるため、張る回数が増える方が多い時期です。それでも37週までは陣痛につながっては困るので、張りを感じたらすぐに体を休めましょう。
また、臨月に入ると「前駆陣痛」を経験する方も少なくありません。前駆陣痛は痛みの強弱や持続時間が不規則な子宮収縮で、比較的長時間(数時間~丸一日程度)続きますが出産には至りません。
妊娠後期の異常な張りで、特に注意が必要なものに「常位胎盤早期剝離」があります。
胎盤は、赤ちゃんに酸素と栄養を届ける重要な役割を果たしています。通常は赤ちゃんが生まれて10~30分程度で胎盤は役目を終え、子宮から自然に剥がれ落ちます。ところが、まれに妊娠中に胎盤が剥がれ始めてしまうことがあります。お腹の赤ちゃんは酸素をもらうことができなくなるため、緊急事態です。
常位胎盤早期剝離の症状は以下の通りです。
・陣痛と違い、ずっと痛い
・張りが異常に強い
・出血は、あるとき・無いときがある
妊娠20週以降に起こりますが、特に32週以降が多いと言われています。
普段から、お腹の柔らかさや張り具合をよく把握しておきましょう。そして「なんだかおかしいかも」と感じたらすぐに産院に連絡・受診しましょう。
「結局勘違いだった」「陣痛だったけど、まだまだ生まれないからと帰された」などを経験した先輩ママもたくさんいます。それでも万が一の場合も考えられるので、遠慮せず連絡・受診しましょう。
また、妊娠中の全期間を通じて言えることですが、妊娠によるお腹の張りや痛みだと思っていたら、実は違う病気だった、ということもあります。たとえば虫垂炎や結石などです。
休んでもおさまらない、痛みがどんどん強くなる場合には、切迫早産の可能性も含め、必ず受診しましょう。
3.お腹の張りによる受診の目安
ここでは、お腹の張りがあったときに受診するかどうかの判断の目安を紹介します。
お腹の張りに対してどの程度注意深くなるべきかは、たとえば前回の妊娠・出産で早産や常位胎盤早期剝離などを経験された場合や、子宮頸管の長さなど、個人差がとても大きいです。
一方で、「それほどの張りではない気がするけどなんだか心配」のようなカンが当たることも少なくありません。弱い張りでも子宮口が開き始めてしまえば早産の危険があるので、気になるときには診察してもらいましょう。
以下はお腹の張りが気になったときの、一般的な受診の目安です。
・だんだん強くなる張り
・吐き気を伴う張り
・妊娠30週未満で1日に3回以上張る(または普段よりも張る頻度が高い)
・妊娠30週以上38週未満で1時間に5回以上の規則的な張り
・1時間に数回張る場合で、間隔が短くなっていく張り
・出血がある(38週以降の少量の出血は“おしるし”の可能性も)
・お腹が異常に硬い
事前に医師などから受診の目安について指示が出ている場合は必ず従いましょう。
まとめ
お腹の張りに気づけるよう、まずはお腹をよく触って普段の柔らかさを覚えておきましょう。もし気づかなくても、健診で「張ってます」と言われたら、その時のお腹の硬さや触り心地、感覚を確認し、次から気づけるようにしましょう。
妊娠中は心配なことも多いかもしれませんが、まずは自分の体に目を向けて、自身を大切にしていくことから始められると良いですね。
お腹の張りがあると「大丈夫かな?」と不安な気持ちになるかもしれませんが、出血がなければ基本的に心配は要りません。もちろん不安や痛みが強ければ、受診して相談してください。
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