お腹に赤ちゃんがいるとわかった日は、ママとして自覚が芽生えるスタートの日。まだとても小さい自分の子どもを思って、ママは嬉しくなったり、心配になったり。ママがお腹の赤ちゃんと一緒に過ごすのは、およそ280日間です。その間に、頭痛でつらい日があるかもしれません。足をくじいて痛くて歩けないことがあるかもしれません。ただただ我慢するのは、ママにとって、とても負担がかかります。そんなとき、「妊娠中に飲んでもいい薬はあるのかな?」と思いませんか?「妊娠初期で妊娠に気づいていなかったときに、薬を飲んでしまったけど、大丈夫かな?」と不安になりませんか?ママが妊娠中に薬について心配になるのは当たり前。それは、大切な自分の子どもとつながっているのだから。この記事では、薬剤師であるひかりが、妊娠中の薬とのつき合い方についてお伝えしていきます。楽しいマタニティライフを安心して過ごすために、参考にしてみてください。
薬の影響は、妊娠の時期によってちがう
妊娠週数の数え方は、最後の月経が始まった日を妊娠0週0日とし、28日ごとに1か月として数えます。
妊娠1か月(妊娠週数:0~3週)
この時期は、まだ妊娠に気づいていません。薬の影響はほとんど無いと言われています。
妊娠2か月(妊娠週数:4~7週)
月経がこないことで妊娠に気づき始めるのがこの時期。絶対過敏期とよばれ、薬の影響を最もうけやすい時期になります。この数週間で赤ちゃんの大切な器官がたくさん作られるので、注意が必要です。
できることとしては、
- 自分の月経周期を把握しておく(“基礎体温をつける”、“おりものの状態に注意する”なども大切です)
- 妊娠の可能性がある場合、月経予定日付近では、薬を飲む前に”早めに判定のできる妊娠検査薬”を使ってみる
- 薬をのみたい程のつらい症状があるときは、産婦人科に相談する
でも、もし妊娠に気づかずに飲んでしまったからといって、必ず影響があるというわけではありません。ほとんどは心配いらないことが多いのですが、念のため“薬の名前”と“いつからいつまで飲んだか”を産婦人科で伝えるようにしましょう。
妊娠3~4か月(妊娠週数:8~15週)
この時期には、赤ちゃんのほとんどの重要な器官の形成が終わり、口蓋や外陰部の形成が行われます。相対過敏期とよばれ、まだまだ薬の影響をうけやすい時期です。特に、この時期は悪阻のピークをむかえているかもしれません。妊婦検診には必ず行くようにして、悪阻についても相談しましょう。
妊娠5か月以降(妊娠週数:16週以降)
赤ちゃんの器官の形成が終わったので、奇形についての心配はなくなります。ただし、ここから出産までの間、薬について何も気にしなくていいわけではありません。この時期に鎮痛薬や高血圧の薬を飲むと、赤ちゃんの身体に影響してくることがあります。産婦人科では、必要な薬を必要な期間だけ使ってコントロールしてくれるので、自己判断で薬を飲んだり、やめたりすることのないようにしましょう。
妊娠中のママに知っておいてほしい薬のこと
薬の種類はたくさんある
薬にはたくさんの種類があり、さらには同じ有効成分の薬でも、商品名が違う薬がいくつもあります。産婦人科以外を受診するときには、”妊娠中であること”をきちんと伝えるようにしましょう。ドラッグストアでも、市販薬が販売されています。市販薬なので、有効成分が比較的少ないとか安全だと思うかもしれませんが、自分できちんとした情報を入手し判断するのはなかなか難しいし、不安になりますよね。市販薬を購入すると、箱の中に薬の説明文書がついているのを知っていますか?その紙には、『使用上の注意』の欄があり、その中に『してはいけないこと』と『相談すること』が書かれています。妊娠に関しての記載があるときは特に注意が必要です。
妊娠中に飲めない薬とは?
薬の種類はとても多いけれど、妊娠の継続やお腹の赤ちゃんへの危険性が明らかになっているのはごく一部です。
- 一部の非ステロイド性消炎鎮痛薬(ジクロフェナクなど)
- 高血圧の薬(バルサルタンなど)
- 高脂血症の薬(プラバスタチンなど)
- 糖尿病の薬(グリメピリド、メトホルミンなど)
- ホルモン剤(男性ホルモン剤やプロスタグランジン製剤など)
- 抗がん剤
- 抗真菌剤(イトラコナゾールなどのアゾール系)
- 抗菌剤(レボフロキサシンなどのニューキノロン系:外用薬を除く)
- 精神神経系の薬
これらの全てが妊娠中に飲めないというわけではなく、この中の一部の薬に危険性があるので妊娠中は使用しないとされています。同じ有効成分の薬でも、レボフロキサシンは、点眼薬は使えるのに、飲み薬は使えないといった、薬の投与方法による違いもあります。妊娠中に薬を飲むのは、ママにとってもやっぱり不安なので、つらい症状があっても我慢してしまいがちです。でも、ママが健康でなければ、お腹の赤ちゃんも健康が損なわれる可能性があります。妊娠中でも安心して飲める薬もあるので、わからないことや不安なことは、自己判断せずに医師や薬剤師などの専門家に相談しましょう。
サプリメントにも注意
「サプリメントは薬ではないから大丈夫でしょう」と思うかもしれませんが、ビタミンAには気をつけないといけません。ビタミンAの過剰摂取は、赤ちゃんの奇形につながる可能性があります。サプリメントだけでなく、レバーなどビタミンAがたくさんはいっている動物性食品の摂取にも注意しましょう。
まとめ
妊娠と薬について、まず知っておいてほしいことをお伝えしました。大事なことは、妊娠中のママは薬を飲むとき一旦立ち止まって考えてほしいということ!詳しい薬の名前を覚える必要は全くありません。薬にはたくさんの種類があり、それぞれに特徴があります。不安に感じたら専門家を頼って、相談してみてください。薬とのつき合い方を知って、安心してマタニティライフを楽しみましょう。西ひかり。現役薬剤師。国立大学薬学部を卒業後、病院薬剤師として15年以上勤務を続けている。病棟担当した診療科は、整形外科・神経内科・代謝内科・血液内科・消化器内科など。終末期の緩和ケアや、日本臨床栄養代謝学会認定のNST専門療法士として栄養療法にも従事。自身の体調不良から薬膳に興味を持ち、薬膳コーディネーターを取得。子供4人のママでもあり、試行錯誤しながら子育てに奮闘中。
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