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【注意!】妊娠中のむくみの原因と対策。妊娠高血圧症候群の察知にも 薬剤師監修

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更新日 2024/11/26

「妊娠中、足がむくみやすい」「むくみ解消法を知りたい」

妊娠中のトラブルのひとつに「むくみ」があります。膝から下の足全体、特に足首より下がむくんでいたり、こぶのようなふくらみが足にできたりする場合もあり、妊娠中のむくみは日頃から注意しなければなりません。

この記事では、薬剤師であるひかりが、むくみを症状とする注意すべき病気についても解説しています。ひどいむくみになる前に、妊娠中のむくみの原因を知り、むくみを予防しましょう。

妊娠中のむくみ

むくみとは

むくみは、血液の流れが悪くなり、本来あるべきではない部分に溜まってしまった水分を体の外に上手に排出できなくなることで起こります。むくみが目立つのは手足のような体の末端ですが、心臓などにもむくみが生じることがあり、注意が必要です。

むくみのセルフチェックとして手足を指で押したときに、陥没してすぐに戻らない場合はむくんでいる可能性があります。妊娠中は、象の足のように足がパンパンにむくむ方もいて、足を下におろした時間が長く、足を動かす時間の少ないデスクワークの方などはむくみやすいと言われています。1日に1回、むくみのセルフチェックを行いましょう。

妊娠中のむくみの原因

妊娠中のむくみの主な原因は

  • ホルモンバランスの変化 
  • 血液量の増加
  • 運動不足
  • 子宮による圧迫

などがあげられます。
妊娠によって増加する黄体ホルモンのプロゲステロンには、水分を体の中に保持しようとする働きがあります。またお腹の赤ちゃんに栄養を届けるためや、出産時の出血などに備えて、妊娠時は血液量が増加します。

妊娠中にむくむ原因は、このように体の中の水分量が全体的に増加するためだけではありません。運動不足によって、足から血液を心臓に向かって戻すポンプ作用が弱くなったり、大きくなった子宮によって、血管が圧迫され血液が心臓に戻りにくくなったりもします。妊娠によっておこる様々な体の変化が、むくみの原因となっています。

妊娠中のむくみやすい時期

妊娠初期からむくみに悩まされる方もいますが、特にむくみやすいのは妊娠後期です。大きくなった子宮による血流の圧迫や運動不足が重なって、足がパンパンにむくむ場合があります。妊娠の全期間を通して、むくみに注意する必要があります。

妊娠中のむくみ対策

塩分を控えて、カリウムを摂取

塩分を摂取しすぎると、体の中のナトリウム濃度を抑えようとして水分が保持されやすくなります。塩分は控えめにしましょう。

一方で、カリウムを摂取すると、むくみの原因となるナトリウムを体の外に排出しようとするため、むくみが解消されやすくなります。カリウムが多く含まれる海藻や、生野菜や生果物などをメニューに取り入れてみましょう。

水分を摂取する

水分の摂取を制限しすぎると、からだが水分を溜め込もうとしてむくみにつながることがあります。他の病気を指摘され水分制限されている場合を除いては、1日に1.5から2L程度の水分摂取を目指しましょう。

体を温める

からだを温めると、血流が良くなり血液が心臓に戻りやすくなります。20分程度の足湯などで、心も体もリラックスしましょう。

からだを締め付ける洋服を避ける

からだを締め付ける洋服は、一時的に血流が悪くなりむくみにつながります。できるだけゆったりした服装で過ごすようにしましょう。

マッサージをする

足先から、ふくらはぎ、太ももといった順に、からだの末端から心臓に向かってゆっくりさするようにマッサージを行うのも効果的です。お風呂上りなどに試してみましょう。

足を高くして寝る

足を水平な状態より高くすると、血流が心臓へ戻りやすくなってむくみの解消につながります。バスタオルを丸めてその上に足首を乗せたり、ふくらはぎの下にクッションを敷いたりするだけで十分です。短時間でもいいので、足のむくみが気になった日には足を高くして横になってみてください。

弾性ストッキングをはく

弾性ストッキングや着圧ソックスは、数多く販売されています。あまりにもきつく締め付けられると効果が期待できなくなるため、自分にあったサイズのものを使用するようにしましょう。足首やふくらはぎの周囲の長さによってサイズが選択できる商品もあります。気になる場合は、産婦人科で相談してみましょう。

座ったままでできる足の体操をする

座ったまま、足首をぐるぐる回したり、かかとを床につけた状態で足先を上げ下げするだけでも、血流を心臓に向かって戻すポンプ作用のサポートになります。デスクワークが多い方や、なかなか運動ができない方などにおすすめの方法です。

見逃してはいけない妊娠中のむくみの症状

妊娠高血圧症候群

妊娠中に高血圧を発症すると、妊娠高血圧症候群となります。血圧が高いだけでなく、蛋白尿が出る場合もあり、妊婦検診時に血圧測定や尿検査を行い、早期に発見できる仕組みになっています。

妊娠高血圧症候群は、ママのからだへの負担も大きく、赤ちゃんの発育に影響を与える可能性もあります。妊娠高血圧症候群の主な自覚症状のひとつにむくみがあり、むくみは妊娠高血圧症候群の早期発見のための重要な指標です。むくみのセルフチェックを欠かさないようにしましょう。

深部静脈血栓症

深部静脈血栓症は、静脈に血の塊(血栓)ができ詰まる病気です。妊娠中は、出産時の出血に備えて、血液が固まるのを助けるタンパク質が体内で多く作られている上に、運動不足によって、血液が滞り血栓が形成されやすくなります。足の血管でできた血栓がはがれて血流によって肺まで流れてくると、肺の血管を詰まらせる肺塞栓症が起こり、命の危険にさらされる場合もあります。むくみは深部静脈血栓症の症状のひとつであるため、むくみのセルフチェックを行い、予防的に弾性ストッキングを使用しましょう。

妊娠静脈瘤

妊娠中に静脈瘤ができる場合もあります。妊娠中のホルモンの影響や子宮の増大による圧迫で、静脈弁が機能しなくなると、血液が心臓に戻る力が弱くなり、血流が滞って血管に圧力が加わり、静脈瘤ができます。静脈瘤は、深部静脈血栓のように肺塞栓症を起こすことはなく、良性の病気です。出産後は症状が軽減しますが、妊娠のたびに繰り返す方もいます。弾性ストッキングを使用して予防し、こぶのようなむくみやクモの巣のように浮き出ている静脈など異常を見つけたら、産婦人科で相談するようにしましょう。

まとめ

妊娠中のむくみの原因と対策や、むくみを症状とする妊娠中の注意すべき病気について解説しました。自分でできるむくみ対策とセルフチェックを行いながら、足のむくみに気づいたら、早めに産婦人科で相談するようにしましょう。

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