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【気を付けて】妊娠中に注意が必要な食べ物・飲み物 助産師監修

  • #助産師

更新日 2024/05/07

こんにちは!助産師のユイです。これまでに新生児訪問や乳幼児健診、そして子育て支援センターなどで赤ちゃんの成長についてたくさんの相談を受けてきました。このコラムでは、最新の研究を基にパパ・ママの心配や疑問に答えます!

今回のテーマは「妊娠中の食べ物」です。赤ちゃんはお母さんの血液を通して酸素と栄養を受け取っているので、食べ物には気をつけたい、と考えている方もいれば、考え過ぎるとかえってストレスになってしまうと感じている方もいらっしゃいます。食事に関してはさまざまな考え方がありますが、ここでは赤ちゃんに影響が出る可能性が科学的にわかっているものをご紹介します。妊娠したら気をつけるところは気をつけながら、食事を美味しく楽しみたいですね。

生もの ― 菌や寄生虫に感染するとお腹の赤ちゃんに影響する可能性

妊娠中は生ものに注意が必要です。妊娠すると免疫力が低下し、食中毒を起こしやすくなったり、菌などがお腹の赤ちゃんに感染する可能性もあるためです。

生ものからリステリア菌に感染する可能性

妊娠中のリステリア菌への感染のしやすさは、妊娠していないときの20倍とも言われています。そして、妊娠中に感染することで、流産・子宮内胎児死亡が20%、生まれてきた新生児のやく70%が胎内感染し、肺炎や髄膜炎で命を落としたり障害が残ったという報告があります。

リステリア菌は土、川、動物の体内などさまざまな場所に存在します。健康な成人であれば保存方法や賞味期限を守ることで感染するほどの菌の量を摂取せずに済みますが、妊娠中は免疫力が低下しているため、少ない量の菌でも感染することがあるので特に注意が必要なのです。そして菌は、冷蔵保存や塩漬けなどでは無くならず、しっかりと火を通すことで死滅するため、生ものは妊婦さんにとってハイリスクな食べ物なのです。

生ものからトキソプラズマ(寄生虫)に感染する可能性

生ものからは「トキソプラズマ症」の感染リスクもあります。トキソプラズマ症は食中毒ではなく妊婦さん自身の症状は無いことがほとんどです。しかし、お腹の赤ちゃんに感染すると、流産や死産、生まれてきた赤ちゃんに障害が残るなどの可能性があります。

リステリア菌やトキソプラズマ予防には、どのような食べ物に注意が必要?

具体的には以下のような食べ物・飲み物に注意が必要です。

サラミやカルパスは乾燥させただけで加熱しない製法が基本であるため、菌が残っている可能性があります。ただし、日本国内で製造されたものは安全基準が高く、会社によっては加熱して製造していることも多いため、リスクが低いと言われています。

ステーキなどはしっかり焼き、生焼けを避けましょう。ローストビーフも生焼けの肉なのでリスクがあります。

また、ナチュラルチーズは製造過程で加熱されていないチーズを指します。プロセスチーズは加熱されているので安心して食べられます。(実際には「ナチュラルチーズ」と記されていても加熱された商品もありますが、製造会社に問い合わせてみないとわかりませんね)

驚かれる方も多いのですが、リステリア菌は土壌にも存在するため、生野菜やくだものにもリスクがあります。ただし、特にリスクが高いのは外国産の野菜やくだものと言われています。例えばアボカドは輸入品のアボカドの18%からリステリア菌が検出されたという報告があります。

リステリア菌は洗うことでもリスクを減らすことができるので、生野菜やくだものを食べる際にはしっかりと洗いましょう。

海藻類を食べ過ぎない

ヘルシーなイメージがある海藻類も、注意が必要です。

どんな影響がある?

海藻類に含まれるヨウ素は、摂取し過ぎても不足してもお腹の赤ちゃんの成長に支障が出る場合があると言われています。とは言っても、日本人は海苔やわかめなど海藻を食べる機会が多いので、不足の心配はほとんどありません。また、ヘルシーなイメージから積極的に海藻を摂り過ぎない(毎日昆布や山盛りの海藻サラダを食べるなど)限り、普段の食事として食べている分には過剰摂取を心配することもないでしょう。

食べても心配のない量の目安を次に説明します。

海藻類の摂取量の目安-昆布とうがい薬に注意

目安は、わかめの汁物なら1日1杯、海苔なら1日1.5枚程度です。昆布には多くのヨウ素が含まれているので、つくだ煮などで昆布を丸ごと食べると妊婦さんの必要量(170μg)の100倍程度を軽く摂取してしまうことがあり、注意が必要です。出汁も、わかめや海苔を食べるなら昆布出汁以外を使うと良いでしょう。

また、ひじきであれば1日に小鉢1杯程度にしましょう。ひじきにはヨウ素のほかに「無機ヒ素」が入っているため注意が必要と言われることもあります。ヘルシーなイメージから大量摂取してしまわない限りは、ヨウ素や無機ヒ素を摂り過ぎを心配しなくても大丈夫でしょう。ひじきは貧血予防になる鉄分など、妊婦さんにとって大切な栄養素も多く含まれています。

ヨウ素の過剰摂取は食べ物よりも、実はうがい薬に注意が必要です。妊婦さんがヨウ素(ポピドンヨード)が入っているうがい薬を使用すると、過剰摂取になる可能性があります。妊娠中でも使える薬はたくさんありますが、市販薬であっても必ず医師に確認をしましょう。

水銀が多く含まれている魚などを食べ過ぎない

魚には水銀が含まれている、と聞いたことがある方も多いかもしれません。しかし、実際には食物連鎖の上位にいる大型、または長寿の魚などを避ければそんなに心配はありません。

水銀を多く含む魚などは、具体的には以下の通りです。

一般的に普段食べる機会が多いのは、マグロ、カジキ、タイなどでしょうか?厚生労働省では、水銀を多く含む魚であっても、1食を80gとした場合は週に1~2食(魚の種類による)であれば心配はないとしています。むしろ水銀の心配をし過ぎて魚を完全に控えてしまう方が、栄養面が心配になります。詳しくはこちらをご覧ください。

ビタミンAを摂り過ぎない―妊娠初期のサプリメントに特に注意

ビタミンAは健康的な皮膚や粘膜、目の健康などに役立つ大切な栄養素です。しかし、妊娠初期にビタミンAを過剰に摂り過ぎると赤ちゃんの体のつくりに影響することがあるため、特に妊娠3か月頃までは注意が必要です。

レバーやうなぎに特に多く含まれており、レバーであれば一口で推定必要量を軽く超えてしまうほどです。レバーは貧血予防のために意識して食べるケースもあるので毎日食べることは避けましょう。

また、緑黄色野菜に含まれるベータカロテンは体内でビタミンAに変わりますが、これは必要分だけ作られるため、緑黄色野菜を控える必要はありません。むしろ栄養のためにしっかり食べましょう。

ビタミンAの過剰摂取で特に注意した方がよいのが、サプリメントです。食事は毎日同じものを食べることはあまりありませんが、サプリメントは毎日摂取することがほとんどであるためです。ビタミンAを摂取しているつもりはなくても、毎日飲んでいるサプリメントに実はビタミンAも含まれている、ということもあります。心配であれば、健診などの際に医師に確認しましょう。

アルコールやカフェイン

アルコール

アルコールによって、お腹の赤ちゃんの体のつくりや脳、神経、発達などに影響することが知られています。研究報告によると、赤ちゃんに影響するアルコールの量は以下の通りです。

「意外とたくさん飲んでも大丈夫ですね」と言われることもありますが、個人差や、周囲にはわかりにくい影響などの可能性も否定できません。アルコールは絶対にNGではないものの、できるだけ控えた方が安心と思われます。一方で、妊娠に気づかない時期にアルコールを摂取しているケースも珍しくありません。心配であれば、妊婦健診などで医師に相談してみましょう。

カフェイン ― エナジードリンクには特に注意

妊娠中のカフェインの過剰摂取による胎児への影響は、WHO(世界保健機関)では実は未確定としつつも、コーヒーであれば1日にマグカップ3~4杯程度までを目安としています。イギリスでは出生時の低体重や将来の健康リスクが高くなるとし、コーヒーは1日約2杯までとしています。

紅茶や緑茶にもカフェインは含まれています。紅茶はコーヒーの半分程度、緑茶は3分の1程度です。最近はカフェインレスのコーヒーや紅茶もあります。また、麦茶やほうじ茶、ルイボスティーにはカフェインが入っていません。工夫してカフェインを摂り過ぎないようにしましょう。

また、近年はエナジードリンクによるカフェインの摂取には、特に注意が必要です。商品によりますが、エナジードリンクはカフェインの濃度が高いことが多く、短時間で多くのカフェインが体内に入ることでコーヒーなどよりも影響が出やすい可能性があります。

まとめ

いかがでしたか?妊娠中は我慢ばっかり…と思われた方もいるかもしれません。確かに生ものには注意が必要ですが、他の食べ物や飲み物は、量に気をつけつつ楽しめると良いのではないでしょうか?せっかくの妊娠期間を、安全に楽しく美味しく過ごせますように。

監修:ラッキーインダストリーズ

ラッキーインダストリーズは創立1934年の日本で一番歴史ある抱っこひもメーカーです。長い歴史の中、多くの子育てをサポートしてきました。私たちの想いである「AMAZING LIFE WITH BABY」を元に、多岐にわたる社会貢献活動を実践しています。本コラムでの情報発信を通して豊かで実り有る子育てのサポートにつながれば幸いです。

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