セルフメディケーション税制について、聞いたことありますか?もしかしたら、薬局で薬のパッケージに表示されているマークを目にしたことがあるかもしれません。
「なんだか難しそうだし、自分にはきっと関係ない」と思わないでください!制度を知り準備しておくと、翌年確定申告することで、所得税が戻ってきたり住民税の負担が軽減するかもしれません。しかも、パパ・ママ・子どもなど、一緒に暮らしている家族の分を合わせて申告できるので、意外に簡単に購入額の条件をクリアできますよ!
この記事では、薬剤師であり、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)でもあるひかりが「セルフメディケーション税制」についてお伝えしています。1月から12月までの1年間が対象期間となるので、年初めの1月からしっかり準備していきましょう。
セルフメディケーションとは?
セルフメディケーションとは、WHOの定義で「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」とされています。つまり、健康維持のために、自分でできることは積極的に取り組みましょうということです。
- 適度な運動、規則正しい食生活、休息を心がける
- 定期的に健康診断を受ける
- 体調に気を配り、軽度な身体の不調は市販薬を使用して様子をみる
- 体の不調が改善しない場合は、医師の診察を受ける
日頃から自分の体調管理を意識し、まず自分でできることはないか考えてみましょう。
子どもの体調管理は、パパ・ママが関心を持って取り組みましょう。特に赤ちゃんは、急に症状が悪化する場合もあり、心配ですよね。子どもの症状をよく観察し、どんな症状がいつから出ているのか、症状は改善しているのか、などを記録しておくように心がけましょう。
市販薬の選び方に悩んだら
症状が軽いため市販薬を使って様子をみるとき、どの市販薬を選べばよいのかわかりにくいかもしれません。子どもに使える市販薬もありますが、大人と子どもでは、薬の量や飲み方が違う場合があります。
薬局で薬のパッケージをよく見て、子どもの症状や年齢に合っているのか確認しましょう。他に飲んでいる薬がある場合や、アレルギーが出やすいなど少しでも不安な場合は、薬剤師に相談してください。
セルフメディケーション税制とは?
セルフメディケーション税制とは、税制の対象となっている市販薬を1月から12月の1年間に1万2千円以上購入した場合に、確定申告することで、所得税の一部が戻ってきたり、住民税の負担が軽減される制度です。自分には関係ないかもと思わずに、対象となるための条件を確認しておきましょう。
セルフメディケーション税制の対象となるためには?
セルフメディケーション税制の対象となるためには、4つの条件があります。
- 確定申告する人が、所得税や住民税を納めている
- 確定申告する人の世帯において、医療費控除を受けていない
- 確定申告する人の世帯において、1月から12月までの1年間に、セルフメディケーション税制対象商品である市販薬を1万2千円以上購入し、レシートを保存している
- 確定申告する人が、健康のための「一定の取り組み」を行い、その領収書または通知結果を保存している
確定申告する人の世帯とは、確定申告する人と”生計を一にする家族”を指しています。夫婦共働きの場合でも、確定申告する人とその家族が同居して生活している場合は、生計を一にしていることになります。通勤や通学などの理由で同居していなくても、休日は一緒に過ごしたり、仕送りを行っている場合には、生計を一にしているとみなされます。
例えば、パパが確定申告した場合でも、一緒に暮らしているママや子どもにかかった分も合算できるということ!「一人だと1万2千円も使わないかもしれないけれど、これなら条件をクリアできるかも」という気になりませんか?
なんだか難しい言葉が並んでいるために拒否反応が出て、最後まで確認しないのはもったいないですよ。それぞれの条件について、わかりやすく解説しているので、いくら節税できるのかシミュレーションしてみましょう。
確定申告する人が、所得税や住民税を納めている
所得税や住民税を納めていない人は、セルフメディケーション税制の対象にはなりません。
確定申告する人の世帯において、医療費控除を受けていない
2024年1月現在では、セルフメディケーション税制は2026年12月31日までという期限が設けられています。セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例です。それまでの間は、医療費控除かセルフメディケーション税制のどちらかを選択し適用を受けることになります。つまり、併用はできません。
医療費控除では、1月から12月までの1年間に、確定申告する人と生計を一にする家族が支払った医療費の合計額から保険金や出産一時金などの補てん金を差し引いた額が10万円を超えた場合に、所得税が戻ってきたり住民税の負担が軽減されたりします。
その年によって、医療費控除がお得なのかセルフメディケーション税制がお得なのか変わってくるので、確定申告する人の所得による税率を確かめてから、実際にシミュレーションしてみるのをおすすめします。
確定申告する人の世帯において、1月から12月までの1年間に、セルフメディケーション税制対象商品である市販薬を1万2千円以上購入し、レシートを保存している
市販薬ならどれでもいいというわけではなく、国が認めたセルフメディケーション税制対象商品でないといけません。薬局に行くと、薬のパッケージにセルフメディケーション税制の共通識別マークがあるのを見かけたことがあるかもしれません。しかし、対象商品には必ずこのマークがあるというわけではないので注意しましょう。
セルフメディケーション税制の対象商品のパッケージに表示されている共通識別マーク
(参照:日本一般用医薬品連合会 https://www.jfsmi.jp/lp/tax/notification/guideline.html)
また、セルフメディケーション税制対象商品を購入した際のレシートは、保管しておくようにしましょう。レシートには
- 商品名
- 金額
- 販売店名
- 購入日
- 購入した医薬品がセルフメディケーション税制対象である旨
が記載されている必要があります。購入しようとしている市販薬が、対象商品なのか分からない場合は、薬剤師に相談してみましょう。
対象商品を1年間に1万2千円以上購入した場合、1万2千円を超えた金額(上限8万8千円)が所得控除の対象となります。
★節税額をシミュレーションしてみましょう★
課税所得が400万円の人の世帯で、セルフメディケーション税制対象商品を1年間に4万円購入した場合
所得税率は20%、住民税率は10%となり
40,000円-12,000円=28,000円
28,000円×(20%+10%)=8,400円
なんと、合計8,400円の節税になります。
課税所得に応じた所得税率に関しては、国税庁の所得税の税率(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)を参照してみてください。
確定申告する人が、健康のための「一定の取り組み」を行い、その領収書または通知結果を保存している
健康のための「一定の取り組み」とは下記のとおりです。
- 保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査(人間ドック、各種健診など)
- 市区町村が健康増進事業として行う健康診査(歯周疾患検診、骨粗鬆症検診、肝炎ウイルス検診、生活保護受給者等を対象とする健康診査)
- 予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
- 勤務先で実施する定期健康診断
- 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
- 市町村が健康増進事業として実施するがん検診
※ 市町村が自治体の予算で住民サービスとして実施する健康診査は対象になりません。
(参照:厚生労働省 セルフメディケーション税制に関する Q&A https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000895271.pdf)
上記のうち1つを受けていればいいということになります。ただし、その領収書や通知結果を保存しておくのを忘れないようにしましょう。
まとめ
ここまで、セルフメディケーション税制について解説してきました。
「意外に簡単に条件をクリアできるかも!」と感じてもらえましたか?
セルフメディケーションによって、家族がお互いの体調管理に興味を持つようになると、健康で笑顔あふれる毎日が増えてくるでしょう。また、会社員の人は自分で確定申告する機会があまりないので、セルフメディケーション税制を利用することは、税金について知るいい機会にもなると思います。
確定申告するのが面倒だと思うかもしれませんが、購入金額が多くなるほど節税額も大きくなります。ぜひ年初めの1月からレシートを保存して準備しておきましょう。
監修:ラッキーインダストリーズ
ラッキーインダストリーズは創立1934年の日本で一番歴史ある抱っこひもメーカーです。長い歴史の中、多くの子育てをサポートしてきました。私たちの想いである「AMAZING LIFE WITH BABY」を元に、多岐にわたる社会貢献活動を実践しています。本コラムでの情報発信を通して豊かで実り有る子育てのサポートにつながれば幸いです。
「無料オンライン相談」、試して購入できる「レンタルサービス」、実際の商品を確認できる「自由が丘直営店」等、より多くのユーザー様をサポートしてまいります。お気軽にご利用ください。