産後

【母乳への影響も!?】産後の冷えの原因・チェック・対策 助産師監修

  • #助産師

更新日 2023/12/25

こんにちは!助産師のユイです。これまでに新生児訪問や乳幼児健診、そして子育て支援センターなどで赤ちゃんの成長についてたくさんの相談を受けてきました。このブログでは、最新の研究を元にパパ・ママの心配や疑問に答えます!

今回のテーマは「産後の冷え対策」です。すっかり寒くなって、体が冷えてしまっている方も多いのではと思います。今回は、どうして産後は冷えやすいのか、産後の冷えはどんなデメリットがあるのか、先輩ママたちお墨付きの、産後でも続けやすくて効果があった冷えの予防・改善方法などをご紹介します!

産後の体は冷えやすい!あなたの冷えを確認しよう

産後に冷えやすい理由

ここでは、産後に体が冷えやすい理由をご紹介します。

理由1)血流が悪くなりやすいため

産後、子宮が元の大きさに戻るまでに6~8週、骨盤のダメージからの回復には6か月程かかると言われています。妊娠中に大きくなった子宮によって悪くなっていた血流は、産後すぐに回復するわけではありません。特に下半身から心臓に戻ろうとする血液の流れが悪く、冷えにつながります。

また、産後は体の痛みや慣れない育児、睡眠不足などで緊張し、コリや痛みなど筋肉が硬くなりやすい状態です。筋肉は柔軟に伸縮することで血液を巡らせるポンプの役割も果たしているため、筋肉が硬くなると血液の流れが悪くなり体が冷えます。さらに、筋肉の伸縮はそれ自体が熱を生み出しますが、筋肉が硬くなることでその機能も期待できなくなります。

理由2)産後の貧血が原因

産後の貧血が冷えにつながる方も少なくありません。出産には出血がつきもので、産後のお母さんは多かれ少なかれ貧血の傾向があります。貧血になると、体の重要な部分(=脳や内臓)に血液を優先的に流そうとするため、手足の血流が悪くなり冷えにつながります。

理由3)自律神経が乱れやすくなるため

自律神経とは、内臓の動きを制御する神経です。交感神経と副交感神経の二種類があり、場面に応じて切り替わることで内臓機能やホルモン分泌などを調節します。主にリラックスしているときは、副交感神経の働きで内臓の動きや血液循環が良くなります

産後は体の痛みや睡眠不足などでリラックスできる時間が極端に減り、緊張続きます。また、産後早期や月経が再開する時期などはホルモンバランスが急激に変化し、自律神経は大きな影響を受けます。そのため産後は自律神経がバランスを崩し、副交感神経の働きが弱まり、血液循環が悪く冷えやすい体になります。

その他にも、母乳育児では授乳のたびに胸やお腹を出すことや、産後1か月はシャワー浴が基本であることなどから、特に冬場はとても冷えやすい生活と言えます。

冷えチェックと冷えやすい生活習慣

産後は赤ちゃんのお世話で自分の体に目を向けることが少なくなりがちです。ここでは以下のチェックリストで、体が冷えていないか確認してみましょう。

  • 手足が冷たい。または手が冷たいと言われる。
  • 手足の指の血色が悪い
  • 平熱が36度未満
  • 皮膚のかさつき、ささくれ、しもやけ、爪の割れなどが起こりやすい

どれかひとつでも当てはまれば、冷えている可能性があります。手足の冷たさは、自分でわかりにくい場合は、パートナーなどに確認してもらいましょう。むくみや胃腸の不調、足腰のだるさや肩こり、低血圧、ふらつきなどの症状がある方は、冷えが原因かもしれません。

また、以下のような生活習慣がある方は、冷えている可能性が高いです。

  • 冷たい飲み物、食べ物が好き
  • 入浴はシャワーで済ませることが多い
  • コーヒー、緑茶、紅茶などカフェイン飲料をよく飲む
  • 冷暖房が強い環境に長時間いることが多い
  • 運動をほとんどしない(歩くことも少ない)
  • 夜更かしが多い、就寝・起床時刻が一定でない

産後1か月はシャワー浴が基本であること、赤ちゃんのお世話は昼夜関係なく忙しいことなどから、産後のお母さんの生活は、とても冷えやすい環境と言えます。

次章からは、冷えによる影響や、産後でもできる予防・改善のための対策をご紹介します。

産後に冷えるとどんなデメリットがあるの?

ここでは、産後に体が冷えるとどのような問題が起こりやすいかを説明します。

感染症にかかりやすくなる

産後は、胎盤が剝がれた後の子宮内の傷や産道の傷、会陰の傷、帝王切開の傷などさまざまな傷があり、感染に気をつけなければなりません。子宮や外陰部周辺などへの感染による発熱は「産褥熱(さんじょくねつ)」と言い、産後早期の方は特に注意が必要な感染症です。冷えや疲れによって傷の治りが悪くなる上に免疫力も低下し、感染症のリスクが高くなるため、冷えの予防・改善は重要です。

母乳育児に不利になりやすい

母乳は血液からできているため、冷えによって血流が悪いと量の不足など母乳育児に不利に働くことがあります。また、流れが悪いことで「うっ滞性乳腺炎」(母乳が詰まることでの乳腺炎)や、免疫力低下による「感染性乳腺炎」(栄養豊富な母乳に細菌などが繁殖した乳腺炎)を起こすリスクもあります。

疲れやすさや体調不良で育児がより大変に感じやすくなる

冷えは、頭痛、肩こり、むくみ、便秘・下痢、腹痛などのトラブルを引き起こします。産後は妊娠・出産による負担からの回復に時間がかかる上に、慣れない育児による疲れや寝不足で体調万全とは言い難く、冷えによるトラブルまで重なると精神的にもつらくなりやすいため注意が必要です。

体形が戻りにくい

妊娠中は、お腹の赤ちゃんを守るため、また母乳育児に備えて太りやすくなります。産後は早く元の体重に戻りたいと思う方が多いですが、冷えがあると新陳代謝が悪いため脂肪が燃焼しにくくなります。

髪が抜けやすくなる

妊娠中は毛深くなったと感じる方も多いのですが、産後は逆に抜け毛に悩まされがちです。これらは主にホルモンの変化が原因ですが、産後に冷え性などで血流が悪いと、毛根に酸素や栄養が行きわたらず更に抜け毛が多くなることがあります。

【先輩ママたちの実例!】産後の冷えを予防・改善しよう

ここでは、先輩ママたちが実践した冷えの予防・改善方法をご紹介します。

とにかく体を冷やさない!

首・手首・足首を冷やさないのが大事と聞いたので、ネックウォーマーやレッグウォーマーを使っていました。手首だけは赤ちゃんのお世話の邪魔になるので諦めましたが、私は家の中で靴下をはくのが苦手なので特にレッグウォーマーは重宝しました。

・母乳育児には腹巻がおすすめです。授乳のたびにお腹を出すのがとても寒かったので、ワイドタイプの腹巻で温めました。カイロを入れるポケットがあるとさらに良いと思います。

1か月健診まで湯船につかることができないのが寒くてつらかったので、足だけ湯船に入れて温まるようにしました。熱めに沸かして30分くらいひざ下を入れていると全身ポカポカしてくるので、そうなってから服を脱いでシャワーを浴びました。足湯をしている間にお風呂場も湯気で温まるのですごくおすすめです。

食べ物や飲み物はとにかく温かいものを摂るようにしていました。特に飲み物はその都度お茶を入れるのは大変なので、水筒に温かいお茶を作っておきました

体を温める飲み物

ほうじ茶、ルイボスティー、白湯など。

カフェインは体を冷やす作用があるので注意しましょう。

体を温める食べ物

野菜:玉ねぎ、ネギ、ニラ、生姜、にんにく、かぼちゃ、ごぼう、にんじん、イモ類など

たんぱく質:肉や魚などの動物性たんぱく質など

夏野菜や南国で採れるフルーツは体を冷やすものが多いため注意が必要です。

フルーツの中でもリンゴは寒い土地で採れるため、体を冷やさないと言われています。

運動をして血流をよくする!

授乳中にじっとしていると手足が冷えるし、肩や腰も固まって血流が悪い感じが気になっていました。赤ちゃんが抱っこをせがんだときは、抱っこしたままバランスボールで軽く弾んでいると体が温まるし肩や腰がほぐれる上に赤ちゃんも喜ぶので良かったです。

抱っこ紐に入れて、午前・午後それぞれ30分ずつお散歩をしました。慣れてきたら少しだけ早歩きを意識すると体がポカポカになって血流が良くなるのがわかります。赤ちゃんも外が好きなようでご機嫌でいてくれました。

※産後数か月~半年は骨盤が不安定な時期なので、無理は禁物です!良い気分転換になる程度にしましょう。

自律神経を整える!

睡眠不足は冷えを悪化させると聞きましたが、赤ちゃんは夜中も起きるので睡眠時間を確保することはむずかしかったので、せめて睡眠の質を上げようと思い以下のことを実践しました。

・朝起きたら日光を浴びる

  ・コーヒーなどのカフェインはできるだけ摂らない。摂るとしても午前中。

  ・ご飯はできるだけ決まった時間に食べる

  ・寝る時間が近づいたら、できるだけスマホは使わないようにする

自律神経は、朝日を浴びたり、食事や睡眠等規則正しい生活リズムで過ごすことなどで整います。とは言え赤ちゃんとの暮らしでは難しい場合も多いので、無理なくできることをしましょう。

また、睡眠の質に影響する栄養素に「トリプトファン」があります。乳製品、大豆製品、カツオ・マグロ、牛肉、レバーなどに多く含まれます。毎日意識して食事を作るのは大変ですが、すぐに食べられるヨーグルトやチーズ、煮豆などを常備しておくと良いでしょう。

・自律神経を整えるには深呼吸がおすすめです。授乳中や抱っこをしながらでもできるので、思い出したら深呼吸をするようにしていました。

※産後は緊張が強くなりがちで、交感神経が優位になります。長く息を吐くよう意識して深呼吸をすると副交感神経が優位になり、自律神経のバランスが整いやすくなります。

 まとめ

妊娠期に続いて産後もお母さんの体は冷えやすく、その影響も小さくはないため冷えの予防・改善はとても大切です。一方、産後は赤ちゃんのお世話で思っていた以上に忙しい!という方がほとんどです。すべてを改善しようと思うと大変なので、できることから変えていき、無理の無い範囲で継続していくと良いでしょう。ぜひ、今日から体を温める生活を意識してみてください。

監修:ラッキーインダストリーズ

ラッキーインダストリーズは創立1934年の日本で一番歴史ある抱っこひもメーカーです。長い歴史の中、多くの子育てをサポートしてきました。私たちの想いである「AMAZING LIFE WITH BABY」を元に、多岐にわたる社会貢献活動を実践しています。本コラムでの情報発信を通して豊かで実り有る子育てのサポートにつながれば幸いです。

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