「妊娠中のスキンケアの注意点は?」「妊娠中にニキビができやすいのはなぜ?」
妊娠中のママの肌は敏感なので、顔だけでなくお腹やお尻など、肌の悩みはつきません。いつもの保湿剤が急に合わなくなって困ってしまうことも・・・。この記事では、薬剤師であるひかりが「妊娠中のスキンケア」についてお伝えしていきます。妊娠中のママの肌を健やかに保つために、参考にしてみてください。
妊娠中の肌トラブルの原因
妊娠中の肌トラブルの原因は、5つあげられます。
- ホルモンバランスの変化
- 悪阻(おそ)(つわり)による栄養バランスの乱れ
- 水分不足による乾燥
- 便秘やお腹が大きくなることによる睡眠不足
- 食欲増加や運動不足
妊娠が成立すると、hCG(ヒト絨(じゅう)毛性(もうせい)ゴナドトロピン)が急激に増加し、その後妊娠を継続させるために卵胞(らんぽう)ホルモン(エストロゲン)と黄体(おうたい)ホルモン(プロゲステロン)の分泌が徐々に増加していきます。出産が終わるときまで、ホルモンバランスは変化し続けるのです。ホルモンバランスの変化は、体中に影響を及ぼします。
妊娠すると、肌トラブルの原因が次々におこって、どんどん肌がボロボロになってしまい、鏡を見るのがつらい・・・という人も多いのではないでしょうか?では実際に妊娠するとどんな肌トラブルがおきるのか、みていきましょう。
妊娠中にみられる肌トラブル5つ
妊娠中におきやすい肌トラブルは主に5つあります。
- シミ
- しわ
- ニキビ
- かゆみ
- 妊娠線
シミ
妊娠によって増加するプロゲステロンには、メラニンの生成を促す働きがあるため、シミが増えたり濃くなったりすることがあります。普段よりていねいに紫外線対策をして外出するように心がけましょう。ビタミンCもシミ予防になります。妊娠中の葉酸サプリメントに、ビタミンCが一緒に入っているものを選ぶのをおすすめします。
しわ
水分不足による肌の乾燥は、しわの大敵です。妊娠中は、赤ちゃんに十分な栄養を送るため皮膚の毛細血管が拡張し血流が増加します。悪阻による水分不足に加えて、血流増加によって肌から水分が失われやすい状況になり、肌は乾燥傾向になるのです。血栓予防もかねてこまめな水分摂取をこころがけましょう。ただし、むくみがひどい場合などは悪化させてしまう可能性があるので、病院で相談してみましょう。
ニキビ
プロゲステロンの影響で皮脂の分泌が活発になり、ニキビができやすくなります。肌の水分が少ない上に皮脂の分泌が活発になると、どうしても毛穴がつまりやすくなり、顔がニキビだらけになってしまうことも・・・。洗顔と保湿による水分導入で、ニキビのない肌を目指しましょう。
かゆみ
妊娠中、乾燥が引き金となって、激しいかゆみを伴うことがあります。保湿してもなかなか改善せずにひどくなっていく場合は、早めに病院で相談しましょう。
知っておいてほしいのは、妊娠中にかゆみがひどいときは、次のような皮膚疾患の可能性もあるということ!ホルモンバランスや体質の変化が原因と考えられていますが、放っておくと悪化していく場合もあるので、注意が必要です。
- 妊娠性掻痒症(そうようしょう):妊娠3か月頃から出現してくる肌のかゆみ
- 妊娠性痒疹(ようしん):かゆみだけでなく、湿疹を伴う
- 妊娠性掻痒性蕁麻疹様丘疹(そうようせいじんましんようきゅうしん)(PUPPP):妊娠後期にお腹や太もも・お尻など広範囲に蕁麻疹のような紅斑(こうはん)や丘疹(きゅうしん)が出現し、強いかゆみを伴う
- 妊娠性疱疹(ほうしん):妊娠中期から産後すぐまでにみられ、強い痒みを伴う。発疹(ほっしん)から水疱(すいほう)となり全身に広がっていく
このような激しいかゆみに対して、自分でできる対策は主に3つあるので、まずは試してみましょう。
- 肌への刺激が少ない綿素材の肌着を身に着ける
- 長風呂を避け、患部を冷やす
- 保湿剤で肌の乾燥を防ぎ、ひっかいてしまわないように注意する
病院では、妊娠時期に合わせて抗アレルギー薬やステロイド外用薬が処方されます。
漢方の当帰(とうき)芍薬散(しゃくやくさん)は、比較的副作用の少ない生薬(しょうやく)で構成されていて、流産や早産を予防し妊娠貧血や妊娠中毒症などの合併症を抑制する目的で医師が処方することもあります。当帰芍薬散を妊娠性掻痒に使用することもあり、ステロイド外用薬などでなかなか症状が改善しない場合は、皮膚科や産婦人科などの専門家に相談してみましょう。
妊娠線
お腹が急激に大きくなると、皮膚はその変化についていけず、ひび割れがおきてしまいます。よくみられるのはお腹ですが、太ももの付け根や内側、お尻などにも妊娠線ができることがあります。しっかり保湿して肌の伸びがいい状態にしておくと、妊娠線予防になりますよ。お腹が大きくなり始める前からスキンケアしておくことが大切です。
妊娠中のスキンケアで、肌トラブル対策をしよう
妊娠中もしっかりスキンケアをすることで、肌トラブル対策につながります。そのためには保湿が最も重要ですが、体重管理にも気を付けなければなりません。
保湿
保湿は、スキンケアの基本です。肌の水分が失われた状態だと、さまざまな肌トラブルを引き起こします。しわやニキビ、かゆみ、妊娠線の予防にもなるので、お風呂上りに全身の保湿を忘れないようにしましょう。顔の保湿は、朝夕の洗顔後1日2回程度がおすすめです。
妊娠前と同じ保湿剤を使っていても、かゆみや湿疹が出現することがあります。その場合は、いったん使用を中止し様子をみましょう。初めての保湿剤を使用する時、肌に合うか心配な場合は、自分で簡単にできるパッチテストを試してみましょう。
パッチテスト手順
- 上腕の内側を石鹸できれいに洗う(入浴後でも可能)
- タオルで優しく拭いた後、保湿剤を直径1cmの円形にぬる
- 30分後、ぬった場所に赤みやかゆみなどがないか確認する → 異常があったら場合は、こすらずに水やお湯できれいに洗い流す
- ぬった場所を水でぬらしたり、こすったりしない(なるべく入浴を避ける)
- そのまま1日間様子をみる → 入浴を避けられるならば、2日後も異常がないか確認する
- 顔に使用したい場合は、フェイスラインで同じように試してみて30分後に確認する
病院では、複数の成分に対するアレルギー反応をテストする方法もあります。気になる人は、皮膚科に相談してみましょう。
妊娠中は肌が敏感になりやすいので、できるだけ無添加の保湿剤を選び、悪阻で匂いに敏感になりやすい人は無香料の保湿剤を選ぶのがおすすめです。全身に使うので、伸びが良いものを選ぶのもポイントです。
保湿剤使用時の4つのステップ
- 手を清潔にする
- 入浴後や洗顔後、できるだけすぐ保湿する
- ぬり広げる場所に、保湿剤を数か所に分けて先に置いておく
- 皮膚がテカっとするくらい、またはティッシュが張り付くくらいの量をぬる
正しい保湿は、妊娠中のスキンケアの重要なポイントです。肌トラブルが起きる前に、しっかり対策をしましょう。
体重管理
妊娠中、体重管理について産婦人科でこまめに指導がありますよね。気を付けていても、クリスマスやお正月など年末年始は体重が増加しがちです。油分の摂りすぎや新陳代謝の低下によって、肌トラブルを招いてしまうので、スキンケアの観点からもしっかりと体重管理をするようにしましょう。
まとめ
妊娠中のスキンケアについて解説してきました。妊娠中のスキンケアは、顔やお腹だけでなく、全身の保湿を継続するのが最も重要です。妊娠中はホルモンバランスの変化などが原因で、肌トラブルがおきやすいので、保湿や体重管理にも気を付けましょう。それでもかゆみや湿疹がひどい場合は、早めに専門家に相談しましょう。妊娠中もコツコツとスキンケアを続けて、穏やかな妊娠生活が送れるよう心がけましょう。
監修:ラッキーインダストリーズ
ラッキーインダストリーズは創立1934年の日本で一番歴史ある抱っこひもメーカーです。長い歴史の中、多くの子育てをサポートしてきました。私たちの想いである「AMAZING LIFE WITH BABY」を元に、様々な社会貢献活動に取り組んでいます。本コラムでの情報発信を通して豊かで実り有る子育てのサポートにつながれば幸いです。
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