こんにちは!助産師のユイです。これまでに新生児訪問や乳幼児健診、そして子育て支援センターなどで赤ちゃんの成長についてたくさんの相談を受けてきました。このコラムでは、最新の情報とみんなの声を元にパパ・ママの心配や疑問に答えます!
今回のテーマは「つわり」です。つわりってみんなどんな感じなの?どうやって乗り切ったの??今、つわりの真っ最中でつらい人も、これから妊娠したいけれどつわりが心配な人も、先輩ママたちの実例や対処方法を知って乗り切りましょう!このコラムを読んで、少しでも楽になりますように…。
つわりを知ろう
ここではつわりについての解説やつわりの治療、つわり中の過ごし方などを解説します。
「つわり」ってどんなもの?妊娠悪阻(おそ)との違いは?
つわりは妊娠5~8週頃から始まって16~20週頃に終わることが多く、妊婦さんの50~80%が経験すると言われています。症状や期間の個人差はとても大きく、つわりはほとんどなかったという人から、妊娠中はずっとつわりが続いた人もいます。また、激しい嘔吐で飲食ができずに大幅に体重減少した場合など、入院が必要になる場合もあります。
これだけ多くの妊婦さんが悩むつわりですが、実は原因はいまだにはっきりとわかっていません。一般的には、妊娠によるホルモンバランスの変化が原因の可能性が高く、強いストレスなどで重くなることがあると言われています。また、ビタミンB6不足がつわりと関係するという研究もあり、日本産婦人科ガイドラインや米国産婦人科学会ガイドラインではビタミンB6の摂取が推奨されています。
主なつわりの症状は、以下のようなものが挙げられます。
・吐き気や嘔吐
・食欲がない
・特定のにおいで気持ち悪くなる
・何か食べていないと気持ち悪くなる(食べづわり)
・眠くなる
・イライラする
つわりの症状が重く、毎日のように嘔吐したり5%以上の体重減少などが見られる場合は、「妊娠悪阻(おそ)」という病気に分類されることもあります。つわりは妊娠に伴って気持ちが悪くなったりする「現象』であり病気ではありませんが、妊娠悪阻は「強いつわりの症状によって、栄養障害や代謝障害などの影響が出ている「病気」です。妊娠悪阻は妊婦さんの0.5%がなるという調査結果があります。妊娠悪阻の重い合併症に「ウェルニッケ脳症」があります。ウェルニッケ脳症は、脳への後遺症や最悪の場合は母体死亡につながる可能性があるため、妊娠悪阻はきちんと治療することがとても大切です。水分摂取ができない、5%以上体重が減少(50㎏の人で2.5㎏の減少)などがあったら必ず受診しましょう。
つわりは治療できる?
つわりは病気ではないため、残念ながら治療はありません。吐き気を抑える薬はありますが、薬の効果よりもお腹の赤ちゃんに影響するリスクが大きいため、つわりでは基本的には服用しません。市販薬でも吐き気止め以外にもつわりに効くとされている漢方薬などがありますが、服用を検討する際には必ず医師に相談し、自己判断での服薬は絶対にやめましょう。つわりを少しでも楽にするためのセルフケアには以下のようなものがあります。
睡眠を十分にとる
睡眠不足などによって体に負担がかかると、つわりが余計に重く感じることもあります。十分な睡眠をとることはもちろん、日中も無理せず休憩をはさみながら体への負担が少なく過ごせるとさらに良いでしょう。
栄養は二の次!食べられるものを食べる
「赤ちゃんのために食べなきゃ」と考えるよりも、できる範囲で食事や水分をとることが大事です。つわり中は栄養バランスは二の次で、食べられるものを食べましょう。ただしビタミンB6はつわりを軽減できるかもしれないので、可能であれば積極的に摂取することをおすすめします。ビタミンB6を多く含む食べ物は、かつお、まぐろ、鮭、レバー、鶏肉などです。サプリメントで栄養を補う場合は必ず主治医に確認してからにしましょう。
水分はこまめに摂取する
気持ちが悪いと水分摂取もしたくなくなるかもしれません。しかし、脱水症状はつわりを悪化させ妊娠悪阻(おそ)を引き起こす可能性もあります。尿の色が濃くなったら要注意です。一回量は1~2口程度でも構いませんので、頻回に飲みましょう。
枕元に食べられるものを用意しておく
朝起きたときがつらい人は、空腹によってつわりが強くなっている可能性があります。目覚めたらすぐに補食できるよう、ゼリー飲料など食べやすいものを枕元に用意しておきましょう。
できる範囲で気分転換をする
シャワーを浴びたり、散歩、おしゃべりなど、できる範囲で気分転換をすると少し楽になるという方も少なくありません。また、妊娠悪阻と診断された場合は、強いつわりの症状によって妊婦さんやお腹の赤ちゃんに悪影響が起こる可能性が高い状態なので、以下のような治療が必要です。
・脱水や極端な栄養不足を改善するために輸液(点滴)をする
・吐き気を抑える薬を服用する
継続的に輸液し続けなければならない場合は、入院する必要があります。
みんなの「つわり」体験記
ここでは、先輩ママたちがどんなつわりを体験したかをご紹介します。
・妊娠がわかってもつわり症状はなかったので安心していたら、7週目に入った途端に急に気持ち悪くなって食べられなくなってしまった。16週くらいには終わると言われたけど、約10週間(=2か月半)もこの気持ち悪い状態が続くと思うと絶望しました。
・私は「食べづわり」だったので常に何かを口に入れていないと気持ち悪かったです。しかもお腹いっぱいになっても気持ち悪くなるので、食べても食べなくても気持ち悪い状態が続きました。
・一人目のときは症状が強い日は横になって過ごすことができたので良かったのですが、二人目妊娠中のつわりは上の子のお世話があるので休めないことがつらかったです。
・二人目の妊娠発覚と同時に激しいつわりが始まって、飲んでも食べてもほとんど吐いてしまい入院しました。上の子のお世話をできる状態ではなかったので入院になってホッとした部分もありましたが、実家に上の子をお願いするなどドタバタで周りにかなり迷惑をかけてしまいました。最初の妊娠でも入院はしなかったものの妊娠悪阻になったので、二人目の妊娠を考えた時点で急な入院に備えてファミリーサポートや一時保育などの登録をしておけば良かったと反省しました。
・私のつわりは、常に吐きたい感じが続いている感じでした。「吐きたいのに吐けない」状態がずっと続いているけれど実際に吐くわけではないので、周囲の人につらさをわかってもらいづらかったです。
みんなのつわり対処法!
ここでは、先輩ママたちはどのように対処したのか、具体的な方法をご紹介します。
タイプ(1)気持ち悪くて飲めない・食べられない!タイプのつわり
食べられそうなものを試してみよう
さっぱり系フルーツ、アイスやかき氷などの冷たいものが食べやすかったという声が多数です。特にレモン味が人気です。フルーツはカットフルーツや冷凍フルーツだと簡単に食べられるのでおすすめです。また、トマトや冷ややっこも人気。冷たいもの、さっぱりしたものが食べやすかったという体験談が多い一方、不思議なことにフライドポテトが食べやすかったという話も実はよく聞きます。固形物は無理な場合は、飴をなめ続けていた人やゼリー飲料が重宝した人も。横になりながらでも無理なく口にできることもポイントです。
【先輩ママの実例】
「私の場合、特定のアイスをちょっとだけしか食べられず、吐くことも多かったです。赤ちゃんに栄養が足りていないんじゃないかとすごく不安だったけど、病院の先生は大丈夫と言ってくれていたのでなんとか乗り切れました。アイスだと水分もとれたので良かったです」
飲みやすそうなものを試してみよう
水分補給はつわりの悪化予防に重要です。水や麦茶、炭酸水が割と飲みやすいという声が多いです。また、レモン水やレモン味の炭酸水も人気があります。もし飲めそうなら、経口補水液をほんの一口ずつで良いので試してみると脱水予防に効果的です。横になったままでも飲みやすいよう、ペットボトルに装着するストローキャップなどを利用すると便利です。
【先輩ママの実例】
「食べ物はまったく受け付けず、飲み物は少しは飲むことができました。はじめは水を飲んでいたのですが、経口補水液が良いと聞いて試してみました。キンキンに冷やしたものならなんとか飲めました。」
ちょこちょこ食べを試してみよう
気持ち悪くて食べられない、食べると余計に気持ち悪くなる人は、一度に食べる量をほんの一口だけにして、ちょこちょこと食べることを試してみても良いかもしれません。まとまった量が胃に入ると吐き気が強くなりやすいので、消化の良いものを一口だけにして、1日3食に限定せずに何度も食べます。
【先輩ママの実例】
食事は見るだけで気持ち悪くなっていたので、つわり中は用意するのをやめました。ゼリー飲料やアイス、冷凍フルーツなど食べられそうなもののストックを切らさないようにして、つわりがちょっとマシなときに一口食べるようにしていました。冷凍しなければいけないものはいちいち取りに行くのが大変だったので、その点ではゼリー飲料なら常温でも問題ないし横になったままでも食べられるし一番重宝しました。」
つわり中は、食べられるもの・飲めるものを摂取するのが基本です。赤ちゃんの成長のために何とか栄養を摂らなければと思う方もいらっしゃいます。もちろん、つわりが軽くて何でも食べられるなら栄養バランスやカロリーにも配慮したいところですが、吐き気などで食べられるものが限定されるときにはとにかく食べられる・飲めるものを摂取しましょう。ただし、以下の食べ物・飲み物は妊娠中にはできるだけ避ける必要があります。
アルコール・・・特に妊娠初期はお腹の赤ちゃんに影響することがあるため避けましょう
カフェイン・・・妊娠中は200~300㎎が上限です。コーヒーならマグカップ2杯程度。大量摂取には注意しましょう。
生もの・・・刺身、レアステーキ、ナチュラルチーズ、生ハム、生卵など。妊娠中は特に食中毒をおこしやすく、原因菌によっては胎盤を通してお腹の赤ちゃんにも影響します。
たばこ・・・妊娠高血圧症候群や赤ちゃんの低体重と関連があります。
タイプ(2)食べづわりタイプ
「ちょこちょこ食べ続けていないと気持ち悪いけれど、まとめて食べるのは無理」という食べづわりでは、3食の食事を細かく分けて食べるようしましょう。カロリーも栄養も確保することができます。
【先輩ママの実例】
「私の場合、一食分をテーブルに出しておいて、朝ごはんなら昼までに食べきることを目標にちょこちょこと食べるようにしました。食べきれないこともあったけど、少しでも食べられているなら気にしないようにしました」一方、「とにかく食べ続けていたい!」というタイプの食べづわりの方は、可能な範囲で体重増加に注意しましょう。食べづわりの人におすすめの、食べやすくて、カロリーは少ないけど満足感が得られる食べ物は以下の通りです。
・こんにゃくゼリー
・海藻サラダ
・もずく
・炭酸水
・アイス
・カットフルーツ・冷凍フルーツ
・コンビニおにぎり
【先輩ママの実例】
「食べづわりで、とにかく何かを食べていないと気持ち悪くなっていました。夏だったのでアイスばかり食べていたら体重が激増してしまったので、途中からはこんにゃくゼリー中心に切り替えました。食べられるものは多かったので切り替えやすかったです」
タイプ(3)においつわりタイプ
「においつわり」は特定のにおいで気持ちが悪くなり、飲食が難しくなったり、時には嘔吐することもあります。気持ち悪くなってしまうにおいをできるだけ避けることが大切です。
においつわりを引き起こしやすいもの
・ご飯の炊けるにおい
・調理中のにおい
・食べ物のにおい
・お風呂のにおい
・生ごみのにおい
・トイレや排泄物のにおい
・人のにおい
・シャンプー・リンス・ボディーソープ・化粧品などのにおい
・洗剤・柔軟剤などのにおい
・タバコのにおい
食べ物系のにおいは、調理をしないでお弁当などですませると防止できます。お弁当やお惣菜も、温めるとにおいが強くなるので、においつわりがある場合は温めない方が良いかもしれません。トイレ掃除や上の子のオムツ替えなどはほかに頼める人がいればお願いしましょう。もちろんタバコは吸っているのが妊婦さんでなくても副流煙による受動喫煙は悪影響が大きいので、においつわりがあってもなくてもご家族は禁煙すべきでしょう。また、他人のにおいまではどうしようもありません。マスクをする、人混みをできるだけ避けるなどして対処しましょう。
【先輩ママの実例】
「一番つらかったのは通勤ラッシュの電車内のにおいでした。会社に相談して、つわり中は時間をずらして出社できるようにしてもらい、ラッシュを避けることができました」
まとめ
今回はつわりの実例や対処方法について解説しました。つわりはさまざまな対処法がありますが、十分な休息や十分な睡眠がベースにあることが、実はとても重要です。また、自律神経を整えることも有効なので、深呼吸をして副交感神経を活性化するのも良いでしょう。つわりは平均的な長さでも2~3か月という長期にわたりますが、必ず終わりはあります。無理せず、体をよく休めながら終わりを待ちましょう。
監修:ラッキーインダストリーズ
ラッキーインダストリーズは創立1934年の日本で一番歴史ある抱っこひもメーカーです。長い歴史の中、多くの子育てをサポートしてきました。私たちの想いである「AMAZING LIFE WITH BABY」を元に、多岐にわたる社会貢献活動を実践しています。本コラムでの情報発信を通して豊かで実り有る子育てのサポートにつながれば幸いです。
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