毎日お世話している赤ちゃん、気温の上昇とともに、あせもが気になりませんか?ねんね期の赤ちゃんは、背中が汗でしっとり・・・
授乳中は、ママとくっついているので2人とも汗びっしょり・・・。赤ちゃんのデリケートな肌に、赤くなったあせもを見つけると、「痛くないかな?かゆくないかな?」と心配になりますよね。
この記事では、薬剤師であるひかりが赤ちゃんのあせも対策についてお伝えしていきます。暑い夏を気持ちよく過ごすために、参考にしてみてください。
あせもとは?原因と対策
まずはあせもの原因を知って、しっかり対策してあげましょう。
あせもの原因と種類
たくさん汗をかくと、汗の出口が詰まって、炎症を起こしてしまいます。これがあせもになるのです。皮膚の浅い部分で詰まっている場合は、水晶様汗疹と呼ばれる軽症のあせもで、数日で治ることがほとんどです。私たちがよく見るのは、紅色汗疹と呼ばれ、皮膚のより深い部分で詰まりが生じ、炎症が起きてかゆみや赤みが出ている状態です。気づかないうちに皮膚をかいてしまい、傷口から細菌に感染することも。早めに対処してあげることが大切です。
あせもの対策
すぐにできる、あせもの対策は4つあります。
- 汗をかいたままにせず、こまめにふく
- お風呂や沐浴で汗を洗い流し、皮膚を清潔に保つ
- 温度や湿度を調節する
- 汗を吸い取りやすい肌着を身につける
わきの下や首などはシワを伸ばして見ると赤くなっているかもしれません。背中は、仰向けのままだと気付きにくいかもしれません。オムツ替えやベビーマッサージ、お風呂などの普段のお世話の中で、赤ちゃんが汗をかきやすい場所をチェックしてあげましょう。
あせもができたらどうする?
あせもができたら、まずは状態をよく観察してみます。後から良くなったかを判断するために、写真にとっておくのもおすすめです。ジクジクしていたり、とびひになっていたりなど、症状がひどい時には初めから病院を受診しましょう。抗生剤入りの塗り薬が処方される可能性があります。ドラッグストアに、赤ちゃんでも使えるあせもの薬が販売されています。薬剤師に相談して、症状や年齢に合わせた薬を使ってみてもいいでしょう。
赤ちゃんのあせもの薬の中身が知りたい!
赤ちゃんのあせもの薬には、主に以下のような効果の薬が入っています。
- かゆみ止め
- 炎症を抑える薬
- 殺菌作用のある薬
- 傷口の浸出液を吸収し、皮膚を乾燥させる薬
ステロイド
ステロイドと聞くと、「怖い!」という印象を持つ方も多いでしょう。ステロイドは、炎症を抑える効果の強い薬ですが、必要な期間に正しい使い方をすれば、しっかりと治してくれる大切な薬です。ステロイドは効果の強さによって5つのランクに分けられていて、症状の程度や塗る場所によって使い分けが必要です。
顔のまわりや陰部などは皮膚が薄いため、薬の吸収率が高くなるので、強いランクのステロイドは使用せず、原則としてmedium(mild)以下の弱いランクのステロイドを使います。ただし、症状に応じて医師の指示で強いランクのステロイドを使う場合もあり、使用期間や使用部位をしっかり守るようにしましょう。
赤ちゃんの場合も、まだまだ皮膚が薄いので、ステロイドは注意して使う必要があります。赤ちゃんのあせもの市販薬には、弱いランクのステロイドが入っているので、安心して使えます。ただし、5〜6日程使っても改善しなかったり、悪化した場合は、一旦使用するのをやめて病院を受診するようにしましょう。
病院を受診する時は、使っていた薬の名前と、経過のわかるような写真があるとよりいいでしょう。大人用のあせもの薬には赤ちゃん用よりも強いランクのステロイドが使用されている可能性があります。大人用の薬しかないからといって、それを赤ちゃんに使うのはやめましょう。
あせものひっかき傷を保護する「プラスモイストDC」
あせもなどの皮膚疾患のひっかき傷を保護しつつ、傷から出る浸出液を吸収してくれる薄いパッドがあります。くっつきにくいので、交換する時も痛みが抑えられます。子どもがひっかいてしまってなかなか治らない時は、病院に相談してみましょう。基本的には軟膏類との併用はしないようになっています。自己判断での併用はせずに、医師に確認するようにしましょう。
(参考:株式会社瑞光メディカル 商品情報 プラスモイストDC https://www.zuiko-medical.co.jp/product04.html#top_box_s)
ベビーパウダーは”水気をよくふき取ってから使う”とあせもの予防に
ベビーパウダーの効果的な使い方は、水気をよくふき取ってから薄くのばして使うこと!こうすることで、かいた汗を上手に放散でき、あせもの予防につながります。あせもができた状態はすでに毛穴がつまっているので、ベビーパウダーを使ってもあまり意味はありません。また厚くぬって使うのも、逆効果です。正しい使い方を心がけましょう。
あせものぬり薬の効果的な使い方は?
のみ薬の場合は、1日〇回・1回〇錠などと、用法用量がはっきりしていますが、ぬり薬の場合も目安があります。
ポイント1:使用量
ステロイドの使用量は、1本25g以上のチューブから出した場合、【大人の人差し指の第1関節の長さ分に出した量(0.5g)=大人の手のひら2枚分の面積】に塗り広げる目安といわれています。ただし、チューブの口径は、軟膏の容量によって違うので、同じ長さに出しても、その量は違っているのです!5~10gの小さなチューブから出す場合は、口径が小さいので、第1関節の長さ2回分が0.5g程度になります。5gのチューブでは、1本が大人の手のひら20枚分に使える量くらいに考えてみましょう。
あせもの薬を塗るときに大切なのは、患部に十分に薬が塗り広げられているかどうかです。あせものある皮膚は凸凹した状態なので、薬の量が少なすぎると、隆起したあせものブツブツに薬が届かずに、なかなか治りにくくなります。どうしても薄く塗り広げてしまいがちですが、必要な量をしっかり塗るように心がけましょう。
ポイント2:塗り方
薬を塗る前には手を洗いましょう。また、薬を直接患部に出して塗り広げたりせず、まず指に出してから塗るようにしましょう。
ぬり薬には、『塗布(とふ)』と『塗擦(とさつ)』の2種類のぬり方があります。漢字からわかるように、『塗布』は布で覆うように優しく塗り広げる方法で、『塗擦』は皮膚に薬を擦りこむように塗る方法です。『塗擦』の方が薬の吸収率は高くなりますが、擦りこむことで皮膚に負担がかかります。あせもの薬のほとんどは『塗布』するようになっているので、それぞれの薬の正しい塗り方を確認して、しっかり守るようにしましょう。また、赤ちゃんのわきの下や首などに塗るときは、しっかりシワをのばして塗ることも大切ですよ。
ポイント3:使用期限
軟膏の使用期限は、チューブに記載されていますが、それは未開封の場合の期限になります。開封したら6か月以内に使用するようにしましょう。数種類の軟膏が混合されたミックス軟膏が処方される場合があります。ミックス軟膏は、4週間以内に使用するようにしましょう。期限内だとしても、外観の変化があるときは使用しないようにしてください。
ポイント4:保存方法
軟膏は保存場所が決まっています。一部を除いて、ほとんどの軟膏は「室温保存」です。日本薬局方で「室温保存」とは、「1~30℃に保存」をさしています。夏場などの30℃を超える暑い時期は、冷蔵庫に入れて保存しましょう。車の中に入れたままにしてドロドロに溶けてしまった場合、冷蔵庫に入れるともう一度固まってくることもありますが、薬自体が変性している可能性があるので、使用しないようにしましょう。
まとめ
すぐにできる赤ちゃんのあせも対策から、あせもの薬の使い方までご紹介しました。ママが判断に迷う時は、ぜひ医師や薬剤師などの専門家に相談してくださいね。赤ちゃんのデリケートな肌をしっかりケアして、暑い夏を快適に過ごしましょう。
西ひかり。現役薬剤師。国立大学薬学部を卒業後、病院薬剤師として15年以上勤務を続けている。病棟担当した診療科は、整形外科・神経内科・代謝内科・血液内科・消化器内科など。終末期の緩和ケアや、日本臨床栄養代謝学会認定のNST専門療法士として栄養療法にも従事。自身の体調不良から薬膳に興味を持ち、薬膳コーディネーターを取得。子供4人のママでもあり、試行錯誤しながら子育てに奮闘中。
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