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【体験談つき】妊娠中は食中毒になりやすい!症状と影響 助産師監修

  • #助産師

更新日 2024/07/02

こんにちは!
助産師のユイです。
これまでに新生児訪問や乳幼児健診、そして子育て支援センターなどで赤ちゃんの成長についてたくさんの相談を受けてきました。
このブログでは、最新の研究を元にパパ・ママの心配や疑問に答えます!

今回のテーマは「妊娠中の食中毒」です。
「妊娠中に食中毒になるとどんな影響があるの?」「赤ちゃんは大丈夫?」そんな疑問にお答えします!
ぜひ参考にしてください。

1.妊娠中は食中毒になりやすい!自分への影響と赤ちゃんへの影響

(1)妊娠中は食中毒になりやすい

菌やウイルスが付いたものを食べると食中毒になることがありますが、免疫によって守られ、軽い症状や無症状で済むこともあります。
一方で、妊娠中は免疫力が低下します。免疫を低下させることで、体にとっての異物であるお腹の赤ちゃんを排除しないよう守っているのです。

しかしその結果、妊娠すると食中毒やさまざまな感染症にかかりやすくなります。

(2)妊娠中の食中毒による影響

妊娠中の食中毒は、妊婦さん自身とお腹の赤ちゃんの両方に影響します。

①妊婦さんへの影響

食中毒の主な症状には、おう吐や下痢があります。妊娠中に激しいおう吐や下痢になると、子宮への刺激でお腹の張りが強くなることがあります。お腹の張りは切迫早産や切迫流産につながる可能性があります。
さらに、妊娠中は治療が必要でも使える薬が限られています。
特に妊娠初期は赤ちゃんの体をつくる時期であるため、むやみに薬を飲むと赤ちゃんへの影響も心配です。

また、脱水にも注意が必要です。
妊娠中は、赤ちゃんにも血液を送らなければならない分、多くの水分が必要です。一方で、赤ちゃんを育てるために基礎代謝がアップするため、妊娠前よりも水分が失われやすい状態です。
その上、おう吐や下痢で体から多くの水分が失われます。

妊娠中の食中毒は「このくらい大丈夫」と我慢したり、自己判断で薬を使うのではなく、病院に相談しましょう。

②お腹の赤ちゃん(胎児)への影響

胎盤には菌やウイルスを堰き止める働きがあり、妊婦さんが感染症にかかっても多くのケースではお腹の赤ちゃん自身は感染せずに済みます。
ただし、お腹の赤ちゃん自身に感染しなくても、妊婦さんが激しいおう吐や下痢で切迫流産や切迫早産になれば、赤ちゃんには命の危険があります。

また、中には胎盤を通過してしまう菌やウイルスもあります。食中毒の原因菌・ウイルスの中にも、胎盤を通過しお腹の赤ちゃんにも感染するものもあります。感染すると、流産や早産、または子宮内でお腹の赤ちゃんが亡くなってしまうことや、後遺症を残すこともあります。

2.食中毒は何時間後に発症する?症状や胎児への影響は?

ここでは、主な食中毒の発症までの時間や症状・お腹の赤ちゃんへの影響などを、胎児に感染するものと、胎児には感染しないけれど気をつけるべきものに分けて解説します。

(1)胎児に感染する可能性がある食中毒

①リステリア菌

動物の腸管や土・水など、自然の中に存在している菌です。健康な人なら発症すること自体が少なく、発症してもほとんどが軽症ですが、妊娠中は免疫力が低下しているため重症化することがあります。

②トキソプラズマ

トキソプラズマ食中毒は、加熱が不十分な肉や水などを摂取することが原因で起こります。
また、猫の便や土からも感染します。
妊娠中に初めて感染すると、赤ちゃんに影響が出るとがあります。

③カンピロバクター

牛・豚・鶏の腸管内にいる菌で、加熱が不十分なまま食べることで感染します。生水や生野菜などに菌が付着したことで感染することもあります。
わずかな菌でも感染するほど、感染力が非常に強い反面、熱に弱い菌です。

(2)胎児には感染しないけれど気をつけたい食中毒

①サルモネラ菌

加熱が不十分な卵、肉、魚などに付着しています。熱に弱いため、よく加熱することが大切です。
吐き気や激しいおう吐、下痢の症状が主で、妊娠中は子宮への刺激からお腹の張り、切迫流早産につながるリスクがあります。発熱や頭痛などの症状がでることもあります。
食べてから6〜48時間程度で症状が出ることが多いです。

②黄色ブドウ球菌

健康な人でも2~3割が保有している菌で、皮膚や口、鼻などにいます。熱に強いため、加熱しても死滅しません。
調理の際に食べ物に直接触れる、おにぎりや巻きずし、サンドイッチなどが原因になることが多いです。調理等食べ物に触れる際は、こまめな手洗いを心がけましょう。
感染すると、1~5時間程度で発症することが多いです。

③腸炎ビブリオ菌

生の魚介類に多く、刺身や寿司が原因になることが多いです。
症状は、激しい下痢や吐き気・おう吐、腹痛などです。
生の魚介類を避ける、十分に加熱することで予防できます。
食べてから4~96時間程度で症状が出ます。

④腸管出血性大腸菌

牛・豚・鶏の腸管内にいる菌で、加熱が不十分なまま食べることで感染します。また、生水や生野菜などに付着したものからの感染もあります。
症状は、激しい下痢(血が混ざることも)、腹痛などです。菌が毒素を作り死亡する例もあり、免疫力が弱い妊婦さんは特に注意が必要です。
熱に弱い菌なので、肉や生肉に触れた他の食品は十分に加熱し、調理器具にも注意しましょう。
食べてから数日~10日ほどで症状が出ます。

⑤ノロウイルス

カキ、アサリ、シジミなどの二枚貝やウイルスに汚染されている生水などが原因になることが多いです。ウイルスの有無と鮮度とは関係ありません。
熱に弱いウイルス
なので、必ず加熱して食べることが大切です。
感染すると1~2日程度で症状が出ます。

対策は以下の通りです。
・リスクの高い食べ物、水は十分に加熱する
・調理の際や食事前のこまめな手洗い
・感染した人の吐物や便などからも感染するので、染吐物や便の始末はマスクや手袋を装着して塩素系漂白剤を使用する(アルコール消毒は効きません)
・後始末後もすぐに手洗いする
・症状が落ち着いても、1週間~1か月程度は便にウイルスが含まれていることがあるため注意する

⑥E型肝炎

豚肉やジビエなどの生食・不十分な加熱が原因と言われています。
感染すると、おう吐・下痢だけでなく急性肝炎によって強い黄疸が出ます。まれに劇症化すると死亡することもあり、妊娠中は免疫力が下がっているため特に注意が必要です。
発症までは2~10週間と開きがあります。

3.妊娠中の食中毒を予防するために気をつけたいこと

妊娠中の食中毒予防のために、特に注意したいことをまとめます。

(1)手はこまめに洗う

食中毒の原因菌やウイルスは手などにも付いています。また、調理中などに生肉・生魚の菌が手につくこともあります。
調理前、調理中、食事前などこまめに手を洗いましょう。

同様に調理器具やタオル等の清潔にも注意しましょう。

(2)妊娠中は特に生の肉・魚介類には注意する

生肉・生の魚介類には食中毒の原因菌・ウイルスが付いていることが多いです。
寿司や刺身用の魚でも食中毒になることはあります。加熱の際は中までしっかり火が通っているか、よく確認しましょう(目安:中心部の温度が75℃で1分間以上加熱)。
特に妊娠中は免疫力が低下しているため、他の人が大丈夫でも妊婦さんだけ食中毒になることも珍しくありません。

また、生ハムやサラミ、スモークサーモン、ナチュラルチーズなども基本的に非加熱なので注意が必要です。

4.妊娠中の食中毒の体験談

ここでは、妊娠中に実際に食中毒になってしまった方の体験談を紹介します。

(1)妊娠初期にお寿司にあたってしまった体験談

妊娠がわかったときに、お祝いで食べたお寿司にあたって食中毒になってしまいました。
吐いたり下痢をしたりして自分自身もつらかったのですが、病院で妊娠初期は赤ちゃんの体をつくる時期なので薬は出さないと言われて、赤ちゃんは大丈夫なのかとても心配でした。

後から、生ものからの食中毒にはお腹の赤ちゃんにも感染することがあると知って、赤ちゃんを危険にさらしたことを今はとても後悔しています。家族からは気にしすぎと言われますが、こんなに心配するくらいなら妊娠中は生ものは我慢すればよかったです。

(2)妊娠後期に生ハムやパテを食べてしまって心配になった体験談

第1子の妊娠中はいろいろ調べて生ものは絶対に食べないようにしていたのですが、案外みんな食べていました。周囲にも心配しすぎと言われていたので、第2子を妊娠したときはそこまで気にしないようにしていました。

友だちの結婚式に参加したときに、せっかくのご馳走を残すもの申し訳なくて生ハムや赤い部分が残っているステーキを食べたのですが、帰りに急に不安になってしまいました。改めて調べてみると、もし食中毒になると早産になる可能性があることや、私に症状が無くても赤ちゃんに感染している場合があることなどを改めて知って心配になりました。

結局、特に症状は出ず、赤ちゃんも元気に生まれたので良かったのですが、妊娠後期はただでさえお腹が重くてつらいのに、心配事を増やしてしまって当時はとても後悔しました。

まとめ

妊娠中に限らず、食中毒の予防にはこまめな手洗いや、生肉・魚への注意などが大切です。
そして妊娠中の食中毒は、切迫流早産や赤ちゃんへの感染のリスクがあります。
これからの季節は食中毒が増える時期です。十分に注意しましょう。

監修:ラッキーインダストリーズ

ラッキーインダストリーズは創立1934年の日本で一番歴史ある抱っこひもメーカーです。長い歴史の中、多くの子育てをサポートしてきました。私たちの想いである「AMAZING LIFE WITH BABY」を元に、多岐にわたる社会貢献活動を実践しています。本コラムでの情報発信を通して豊かで実り有る子育てのサポートにつながれば幸いです。

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