親にとって世界で何よりも大切な赤ちゃん。もしその大切な赤ちゃんを、知らず知らずの間に危険に晒していたら…?考えただけでも恐ろしいですよね。実は、本当に多くのご家庭でリスクのある睡眠環境に赤ちゃんが置かれているという事実があります。この記事では乳幼児睡眠の専門家であるねんねママが、ご家庭で起こりがちな危険についてお伝えしていきます。
①大人ベッド
大人ベッドでの添い寝は転落・窒息につながる危険性があります。実際に、大人ベッドに添い寝をしていての窒息事故が発生しています。ベッドガードを使用すれば安全と思われがちですが、ベッドガードは18ヶ月未満の乳幼児の使用が認められていません。
転落すること以外にも、大人の枕、掛け布団、やわらかいマットレスなどリスクが多いため、赤ちゃんは大人とは別の寝床に寝かせてあげるようにしましょう。アメリカ小児科学会の睡眠中の事故防止のためのガイドラインでも「部屋はシェア、ベッドはシェアしない」ことが推奨されています。
②掛け布団、枕、ぬいぐるみ
日本ではなかなか浸透していませんが、赤ちゃんに掛け布団をするのには危険が伴います。掛け布団のような柔らかいものがベッドの中にあると、顔にかかったときに払いのける力がなくて窒息、もしくは寝返りした際に掛け布団に顔が埋まって窒息…という可能性が考えられます。また、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク因子として体温が高まりすぎることが挙げられているため、その点にも注意が必要です。体が冷えるならスリーパーを活用しましょう。枕やぬいぐるみなどのやわらかいものも、掛け布団同様に鼻や口を塞いで窒息のリスクになります。少なくとも0歳の赤ちゃんの寝床には入れないようにしましょう。
③ビーズクッション、授乳クッション
マイクロビーズの入ったクッションに赤ちゃんを寝かたり、授乳クッションに寝かせたりして目を離すことは危険です。こういったクッション類の中に体を丸めて寝かせるとぐっすり寝てくれる、というライフハックがあり実際に効果があるのも事実ですが、そのまま目を離してしまうのは非常に危険です。アメリカ小児科学会のガイドラインの中でも「10度以上の傾斜のついた場所に寝かせない」ということが明記されています。
④ベッドインベッド
大人用ベッドに添い寝をして、ベッドインベッドに赤ちゃんが寝ているケース、もしくはベビーベッドの中でベッドインベッドに寝ているケースも散見されます。しかし先に述べた通り大人のベッドでの添い寝は危険なのと、ベッドインベッドそのものが窒息の要因になってしまうことが考えられますので、この使用方法は避けるようにしてください。また、ベビーベッドでの使用もベッドインベッドが自由な動きを妨げて窒息の要因となりかねません。製品にもベビーベッドの中では使用しないように注意書きがされていることもあります。
⑤シーツ代わりのタオル(緩んだ状態)
タオルをシーツ代わりに使用すること自体は、洗濯を考えると現実的な方法かとは思います。ただし、捲れ上がって顔に掛かってしまうことなどのないように、四隅にゴムをつけてひっかけるなど工夫をしてください。緩んだ状態で鼻と口を塞いでしまわないよう、ピンと張って取り付けましょう。
⑥ベッドガード
先にも述べましたが、SG基準でベッドガードの使用は18ヶ月からと決められています。取り扱い説明書と箱、製品本体にも18ヶ月以上が対象で、「小さな乳児の場合、隙間に挟まると自力では脱出できず窒息するおそれがある」という具体的な危険性についても併記するように定められています。
⑦ベッドバンパー(厚手のもの)
ベビーベッドの内側に取り付けるクッション製品(ベッドバンパー)は、それ自体に窒息の危険性がありますので使用を避けることをおすすめします。どうしても手が挟まってしまうなどの理由で使用される場合は、メッシュタイプなど仮に顔が押し付けられても呼吸を妨げないものを選んでいただくのが良いでしょう。
⑧スタイ
お昼寝の際、スタイを着用したまま昼寝をさせているケースも見かけることがあるのですが(抱っこ紐の中など親が目の前で様子を観察している場合は除く)、寝るときはスタイを外してあげましょう。苦しくて寝づらい要因にもなりますし、首が引っ張られるなど動きを妨げるリスクにもなりかねません。
⑨コード、ケーブル類
布団で寝ている場合、部屋のどこでもハイハイや歩いて移動できてしまうと思いますが、そこでコード類やケーブル類などに触れられる環境になっていないかは注意が必要です。指しゃぶりなどで濡れた手でコンセントを触るのは非常に危険なのと同時に、長いケーブルが首に絡んでしまったりする危険性もあります。赤ちゃんが寝ている場所はできれば、ベビーベッドやベビーゲートで囲われた中にしてあげるのが理想的です。添い寝の場合は家電や電源などの方にゲートをして近づけないようにしてあげましょう。
⑩ブラインドの紐
実際にあった事故で、赤ちゃんがベッドに寝ていて、気づいたらブラインドの紐が首に巻きついて死亡してしまったという報告がされています。ソファやベッドはブラインドの近くに置かないことをおすすめします。
まとめ
毎日の寝かしつけが大変で、便利でラクなものに頼りたくなる気持ちはみんな同じだと思いますし、私も同じです。それが悪いとは一切思いません。むしろ便利なものは大いに活用してラクできるところはラクをしていただきたいです。ただし、こういった最新の情報も踏まえながら、お子さんの安全を守るためにも注意を払って安全に過ごしていただきたいと思います。
消費者庁の発表によると、0歳児の就寝時の窒息死事故は5年間で 160 件確認されています。消費者庁が把握している件数以外にも、もっとたくさんのご家庭で悲しいこと、そして日々のヒヤリハットは起こっているかもしれません。
今回の記事に当てはまるものがあっても「私は勉強不足でダメな親だ」「危険な環境を作ってしまっていて申し訳ない」と自分を責めたりせず、いままで何事もなくてよかった!気付けてよかった!と思っていただき、今後の環境改善に役立てていただければと思います。一人でも多くの大切な命を守るために、今一度ご家庭の寝床を見直してみてください。
乳幼児睡眠コンサルタント。自身が夜泣きに悩んだ経験から国内外の乳幼児睡眠に関する資格を取得。0〜3歳モンテッソーリ教師資格保持。YouTube「寝かしつけ専門学校ねんねママチャンネル」やInstagramなどで発信を続け、2022年現在、SNSの総フォロワーは15万人超。運営する「寝かしつけ強化クラス」では月間200問以上の睡眠に関する質問回答を行っている。著書に『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』(青春出版社)がある。https://mominess.com/
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