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出産場所はどうやって決める?助産師が勧める出産場所の選び方 助産師監修

  • #助産師

更新日 2023/04/04

こんにちは!助産師のユイです。これまでに新生児訪問や乳幼児健診、そして子育て支援センターなどで赤ちゃんの成長についてたくさんの相談を受けてきました。このブログでは、最新の研究を元にパパ・ママの心配や疑問に答えます!

今回のテーマは「出産場所」です。病院・クリニック・助産院…いろいろあるけど何が違うの?里帰りする?無痛分娩も気になる…。お産はあなたと赤ちゃんのもの。この記事で、あなたと赤ちゃんが一番幸せになれる出産場所のヒントがみつかると嬉しいです。

 病院で産む?クリニック?助産院??まずはそれぞれの特徴を知ろう!

ここでは病院・クリニック・助産院の3つの施設の違いを紹介します。

病院での出産の特徴

「病院」とは、ベッド数が20床以上の医療機関です。

病院で出産するメリット

✔充実した医療設備や診療科によって、母児の急変にも対応できること

✔合併症などがあっても、他科と連携して専門的な医療が受けられること

特に「周産期母子医療センター」が併設されている病院には新生児集中治療室(NICU)や母体胎児集中治療室(MFICU)があり、緊急時には速やかに高度で専門的な医療を受けることが可能です。「何かあったときのスピード感」を最優先したい場合は病院での分娩を選択すると良いかもしれません。

※病院によって設備は様々なので、別の病院へ搬送が必要になることもあります。

病院で出産するデメリット

✔入院食は他科と同じ扱いのため味気なく感じる

✔「病院っぽさ」はクリニックなどと比べると強い

✔外来と病棟でスタッフが分かれていることもあるので、初めて会うスタッフの中で分娩することになるかもしれない

✔400床以上の病院で紹介状が無い場合、「初診時選定療養費」や「再診時選定療養費」がかかることがある

最近は大きい病院でもヨガなどの様々な産前・産後クラスや助産師外来等を導入し、妊婦さんとの信頼関係を作り、安心して出産を迎えられるよう工夫している病院も増えてきています。また、病院によってはハイリスクや緊急の妊産婦さんや赤ちゃんの受け入れを確保するため、紹介状の無い妊産婦さんはお断りしていることもあります。気になる病院には早めに確認しましょう。

クリニック(診療所・医院)での出産の特徴

クリニックはベッド数19床以下(ゼロも含む)の医療機関のことです。「クリニック」「診療所」「医院」は同じ意味です。主にリスクの少ない妊娠・出産が対象です。

クリニックで出産するメリット

✔マタニティヨガや産後クラスなど、楽しみながらヘルスケアできるプログラムが用意されていることが多い

✔受け入れられるバースプランの幅が比較的広い

✔お祝い膳やエステなど、入院中でもリラックスして楽しめる工夫があることが多い

✔スタッフの配置が病棟と外来で担当が分かれていない場合が多いため、分娩時や入院中にも外来で慣れ親しんだスタッフがいる

クリニックで出産するデメリット

✔高度医療には対応していないため、必要に応じて設備の充実した病院へと紹介される

✔緊急時には救急車で大きな病院へと搬送されることがある

✔お母さんだけ、赤ちゃんだけ高度医療が必要な場合など、母子が別々の病院に入院となることがある

✔分娩中に突然初めての病院に搬送された場合、初対面の医療スタッフに囲まれての出産となる

クリニックは「病院っぽさ」は少ない分、緊急時には対応しきれないこともあります。大きな病院への紹介や搬送は不安かもしれませんが、クリニックと病院が連携しているからこそ緊急時にはお母さんと赤ちゃんを守ることができます。

助産院での出産の特徴

助産院は、助産師が正常な妊娠・出産のみを扱う、医師のいない施設です。医療行為を行えないため、必要であれば連携する病院へ転院や搬送することもあります。

助産院や自宅で分娩するメリット

✔妊娠初期からマンツーマンで担当した信頼関係の構築できた助産師が、分娩も担当

✔分娩台を使わない自由度の高いお産ができる

✔基本的に家族の立ち合いの制限が無い

✔家庭的な雰囲気で安心して産める

✔乳房ケアが得意なことが多い

助産院や自宅で分娩するデメリット

✔持病などのリスクによっては受け入れられない

✔医療行為が必要と判断されたら、転院や搬送になる

「安心」は分娩をスムーズに進めるための大切な要素のひとつです。マンツーマン対応で助産師との間に強い信頼関係ができていると、お母さんは安心して出産に臨むことができます。また、提携病院でも妊婦健診を数回受診することが定められており、医療と連携しながら母児の安全を守ります。一方で、転院や搬送は、助産院と病院との違いから戸惑いが大きくなりがちです。緊急性の高い状況となった際、搬送にかかる時間がリスクとなる可能性もあります。

自分が重視したいポイントを整理して出産場所を選ぼう

あなたは何を重視して産む場所を決めたいですか?ここではそのヒントを紹介します。

里帰りをするかどうか

産前産後に実家で過ごすことのメリットは、家事を任せてゆったりできることや、家族に囲まれて過ごせる安心感でしょう。一方で、里帰り先が遠方だと夫が関りにくくなってしまいます。また、実家の家族も仕事がある場合が多く一人で育児をする時間が長いことや、家族と育児方針が合わなくて余計に疲れてしまったという話もよく聞きます。途中から里帰り先の病院等へ転院することで、慣れない環境での分娩になるというデメリットもあります。

無痛分娩を希望するか

無痛分娩の人気は高くなってきています。主なメリットは以下の通りです。

・産婦さんの呼吸が安定し、お腹の赤ちゃんへも酸素を十分に供給できる

・産婦さんの血圧が安定する

・産後の回復が早いことが多い

逆にデメリットは、以下のようなものがあります。

・分娩に時間がかかり陣痛促進剤を使う必要性が出てくることがある

・分娩に時間がかかり、吸引などの補助が必要になることがある

・お母さんの血圧が下がり赤ちゃんへの酸素供給が低下することがある

・金額が高い

他にも無痛分娩の重篤な副作用は、頻度は少ないですがゼロではありません。また、施設の体制も様々で、無痛分娩はすべて計画分娩(誘発分娩)となる施設や、平日の日中のみ無痛分娩可能という場合もあります。無痛分娩を考えている場合は早めに相談し、リスクや各施設の体制も理解した上で進めましょう。

退院後のフォロー体制はどうか

退院後に母乳トラブルが起きることは珍しくありません。分娩する施設で母乳外来等を行っているかどうかも確認しておくと、いざというときに安心です。また、2週間健診など、1か月健診前のフォロー体制を整えている施設も増えてきました。新生児期は赤ちゃんの体重や体のこと、生活リズムやご自分の体調など気になることが多い時期です。健診が無くても心配なことがあれば受診すべきですが、2週間健診が設定されていると行きやすいかもしれません。

バースプランは受け入れてもらえるか

分娩から退院までどんな過ごし方をしたいか、よく考えてみましょう。立ち合い分娩はコロナ禍で制限する施設が多くなっていますが、それでも分娩中にビデオ通話や動画の撮影に協力してくれることもあります。また、生まれてすぐの赤ちゃんをお母さんの素肌で抱っこして過ごすカンガルーケアは、注意も必要ですが赤ちゃんは落ち着き呼吸が安定し、お母さんは母乳分泌を促され、親子の絆が深くなるメリットがあると言われています。陣痛促進剤や会陰切開の有無、そして母乳のこと…バースプランはあくまでも分娩経過が落ち着いていて、お母さんと赤ちゃんの安全を守った上で実現できるものなので、希望通りにいかない場合もあります。それでも自身の希望を伝えるとともに、施設の方針とすり合わせ、お互いに納得しておくことが大切です。

自宅からの距離はどうか

職場に近い施設の方が通院しやすかったり、自宅から少々遠い場所に希望に近い病院あったりするかもしれません。しかし、妊娠中は切迫流産や切迫早産など安静が必要な場合や、つわり・悪阻で受診がつらい時期もあります。中には、分娩が急激に進んで病院に間に合わずに出産してしまう人もいます。近ければ近いほど良いわけではありませんが、自宅からある程度通いやすい距離であることも大切です。また、病院を決めたら、何かあったときにはすぐに病院に行ける距離にいることも大切です。妊娠中の旅行などは、安定期であってもよく考える必要があります。

セミオープンシステムを希望するかどうか

セミオープンシステムとは、妊婦健診は利便性の高いクリニック等で受け、妊娠後期頃に連携している医療施設の整った大きな病院へ転院し分娩まで行う、両者の良いとこ取りを目指したシステムです。まだ多くはありませんが、セミオープンシステムを導入する施設は少しずつ増えています。中には妊婦検診を担当していた施設のスタッフが提携病院で分娩介助まで行う「オープンシステム」を導入している病院もありますが、セミオープンシステムよりもさらに少数です。慣れていない施設で分娩することになるというデメリットもありますが、近隣にセミオープンシステム等を利用できるクリニックなどがあれば検討してみてはいかがでしょうか。

やっぱりフィーリングも大切

豪華な設備、美味しい食事、思い描く条件にピッタリだと思っても、実際に受診してみたら何かが違う…。そんなこともあるかもしれません。大切なあなたのお産です。ここなら安心して産むことができる、そんな信頼できる施設を見つけられたら最高です。

まとめ

産科施設は減少傾向にあります。その中で自分の理想にピッタリ合った施設を見つけることは、難しいことかもしれません。それでも、私はどんなお産がしたいのか、産後はどのように過ごせたら安心できるのか…まずは自分の気持ちに問いかけることから始めたいものです。安心も安全も守りたいと思うのは、妊産婦さんも医療者も同じです。お互いの想いをすり合わせ、納得してお産に臨めたら、それが一番なのだと思います。あなたのお産が、赤ちゃんとのステキな出会いとなりますように!

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