産後

抱き癖よりも愛着!アタッチメントを育んで思いやりのある子に育てよう! / 助産師監修

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更新日 2023/01/27

こんにちは!助産師のユイです。これまでに新生児訪問や乳幼児健診、そして子育て支援センターなどで赤ちゃんの成長についてたくさんの相談を受けてきました。このブログでは、最新の研究を元にパパ・ママの心配や疑問に答えます!

抱き癖なんて気にしない!抱っこは赤ちゃんが成長するためのメリットがいっぱい 

皆さんは「抱き癖」という言葉を聞いたことがありますか?

赤ちゃんを抱っこし過ぎるとわがままになるなど、たくさん抱っこをすることがまるで「悪いこと」のように言われた時期が過去にはありました。

しかし現代では赤ちゃんについての研究が進み、抱っこは赤ちゃんにとって有益であることがはっきりしています。この記事では抱っこがいかにメリットいっぱいであるか、そして抱っこをする人の身体を守りながら抱っこをする方法などを紹介します。いっぱい抱っこをして、赤ちゃんもパパ・ママも幸せいっぱいな毎日を過ごしましょう!

自分が大切にされているという身体感覚が思いやりの心をはぐくむ

赤ちゃんについての研究が進んだことで、抱っこをはじめとしたスキンシップは赤ちゃんのパパ・ママに対する信頼感や安心感を育み、気持ちを安定させる力があることがわかってきました。

身体心理学の第一人者であり桜美林大学リベラルアーツ学群教授の山口創教授は、その著書(※1)の中で「『思いやり』は『思いやられること』で生まれる」と説明しています。泣いているときに「よしよし、どうしたの?」と抱っこをされ、泣いている原因を取り除こうとしてもらうような「思いやられた」経験が、相手の気持ちに共感し思いやる心へと育っていくのです。

自分が不快な気持ちを表明すれば、パパやママは原因を取り除こうとしてくれる。「お腹がすいたんだね」と気持ちを分かってくれる。その積み重ねによって、「私は私のままでいい」という自己肯定感が育ち、自分がしてもらったことを今度は自分がしてあげたいという気持ちが育まれていきます。

抱き癖を気にして赤ちゃんを抱っこすることを我慢してしまうと、赤ちゃんが「パパやママからの思いやり」を受け取るチャンスを減らしてしまうかもしれません。いっぱい抱っこして、赤ちゃんのうちから思いやりの心を育てましょう。

抱っこで愛着(アタッチメント)が育つ

愛着とは、子どもと特定の人(主に養育者)の間に築かれた特別な情緒的結びつき(信頼感)のことを言います。

例えば、生まれて数か月の赤ちゃんは、お腹がすいたときに誰からミルクをもらっても喜んで飲みます。でも数か月経って、「この人がいれば安心」という特定の人との特別な気持ちの繋がりができてくると、授乳も他のお世話もその人から受けたいと思うようになります。

成長するに従って、その特別な信頼感はお世話だけにとどまらず、自立に向け大きな影響力を持つようになります。例えば転んだときでも「この人に慰めてもらえば気持ちを立て直せる」というように失敗しても次の探索への意欲を失わずにいることができます。そしてその意欲が成長に繋がっていくのです。

生まれてから2~3ヶ月までの赤ちゃんは、その「愛着の対象」を探している時期と言えます。泣いたら抱っこやミルクなど自分の欲求を満たしてくれる、安心な気持ちにさせてくれる大人に対して愛着を持ち、アタッチメントの基礎を固めている時期です。いっぱい抱っこすることで、子どもは大好きな大人との安定した関係を土台にして、失敗しても気持ちを立て直しながらどんどん挑戦できる子へと成長していくのです。

抱っこで脳が育つ

「皮膚は露出した脳」、「皮膚は第2の脳」などという言葉を聞いたことはありますか?実は、皮膚と脳はルーツが同じなのです。受精卵から一歩進んだ「胚」であったときに、皮膚と脳は同じ「外胚葉」というグループに属していました。そこから分化し脳と皮膚に分かれたため、元々とても繋がりが深いのです。

山口創教授は、その著書(※2)の中で皮膚と脳の関係を次のように説明しています。(以下引用)

「人に触れるスキンシップというのは、脳の体性感覚の主観極と客観極を同時に覚醒させ、また運動システムも刺激しているため、脳を広範囲にわたって刺激しているのである」

「皮膚から脳へ情報が伝わる経路は非常に単純で、広範囲を刺激するようにできている」

つまり、抱っこをはじめとしたスキンシップは、皮膚をとおして脳への刺激になっているのです。

抱っこは、気持ちの安定だけでなく脳の育ちにも関係しているのです。

抱き癖がつくほどの抱っこで、パパもママもオキシトシンいっぱい

抱っこなどのスキンシップによって、脳から「オキシトシン」という幸せを感じるホルモンが分泌します。オキシトシンは出産のときに陣痛を起こしたり、母乳を赤ちゃんの口へと押し出したりする役割もあります。そのため女性だけのホルモンと勘違いされがちですが、男性にも分泌します。

赤ちゃんとたくさん触れ合うことでオキシトシンの分泌が増えると、赤ちゃんをより愛おしく感じ、もっと抱っこしたくなるという好循環になります。そしてたくさん抱っこされて愛されていることを実感した赤ちゃんは、安心感に包まれ、パパ・ママへの信頼がさらに深まり、成長の大きな原動力になります。

抱っこなどのスキンシップによって、赤ちゃんだけでなくパパ・ママも幸せになれるのです。抱き癖を気にしていたらもったいないですね。パパもママもいっぱい抱っこして、みんなで幸せになりましょう!

抱っこ紐などを上手に利用して、無理なく抱っこしよう

抱っこは無理なく続けられることが大切です。そのためには家の中でも抱っこ紐を使うなど、モノを上手に利用するのもひとつの方法です。特に赤ちゃんがまだ小さいうちはふにゃふにゃと抱きにくく、産後の体調も万全とは言い難い時期です。慣れない育児も重なり、腰や膝、手首を痛めてしまう方もたくさんいます。赤ちゃんのお世話をする人が複数いて体調に合わせて無理なく育児ができればいいけれど、誰もがいつもそうできるわけではありません。いくら抱っこが大切とわかっていても、抱っこがつらいときもあるでしょう。それでも、例えば以下のように上手にモノに頼ることで、腰などの痛みを予防できるかもしれません。

・腰や膝、手首が痛くなりそうなら、あらかじめ骨盤ベルトやサポーターで保護する。

・抱っこが長時間になりそうなら、家の中でも抱っこ紐を使う。

・床での育児は腰や膝を痛めやすいので、授乳は椅子に座って、おむつ替えはベビーベッドなどを自分に合った高さに調節して使う。

骨盤ベルトやサポーターなどは、忙しい中でわざわざ着用するのは面倒と思うかもしれません。抱っこ紐も、慣れないうちはかえって手間に感じることもあるでしょう。でも、一旦身体を痛めてしまうと治るまでには非常に時間がかかることが多いのです。痛みを感じなくなるまでに数か月かかることも珍しくありません。

育児は長い道のりです。人やモノの力を借りながら、無理なく続けられることが大切なのです。

※骨盤ベルトや抱っこ紐は正しい着用方法の相談に乗ってくれる産院や販売店もあります。身体を守るには正しく装着することが大切なので、アフターフォローの有無も購入の際に検討しましょう。

ベビーキャリアのパイオニア「ラッキーインダストリーズ」では、LINE通話で抱っこ紐について無料相談することができます。また、気になる製品を10日間レンタルできるサービスもあります。LINE相談と併用することで納得のいく商品を正しく使えるためお勧めです。

まとめ

以前は「抱き癖」という言葉もあったけれど、実は抱っこは赤ちゃんの成長と私たち親の気持ちの両方に良い影響を与えてくれているのです。しかし産後の体調不良や身体の痛みなどで、抱っこがつらくなることもあるかもしれません。そんなときはひとりで抱え込まず、人やモノにどんどん頼れるといいですね。

せっかくの乳幼児期です。無理なくいっぱい抱っこをして、赤ちゃんもパパ・ママも幸せいっぱいな毎日を過ごせるよう応援しています!

 

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