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【要注意!】妊娠中にかかりやすいインフルエンザ対策 助産師監修

  • #助産師

更新日 2024/09/17

こんにちは!助産師のユイです。これまでに新生児訪問や乳幼児健診、そして子育て支援センターなどで赤ちゃんの成長についてたくさんの相談を受けてきました。このブログでは、最新の研究を元にパパ・ママの心配や疑問に答えます!

今回のテーマは「妊娠中のインフルエンザ対策」です。もし妊娠中にインフルエンザに感染したらどんなリスクがあるの?受診はどうしたらいい??そんなたくさんの疑問にお答えします!ぜひ参考にしてください。

妊娠中はインフルエンザにかかりやすい?

妊娠するとママの免疫力が低下するため、インフルエンザに限らず感染症にかかりやすくなります。

「免疫力」とは「自分以外のものを体から排除する力」で、免疫力が強すぎるとお腹の赤ちゃんまで排除しようとしてしまいます。そのため妊娠中は赤ちゃんを守るために免疫力が低下しますが、逆に感染症にかかりやすい状態であり、注意が必要です。

妊娠中のインフルエンザ感染の影響

ここでは妊娠中にインフルエンザに感染した場合、どのような影響が起こる可能性があるかを解説します。

自分への影響

一般的に、インフルエンザに感染すると以下のような症状が出ることが多いです。

・38度以上の高熱

・頭痛

・関節痛

上記の症状は、インフルエンザウイルスに対抗するために体内で生成する物質によって引き起こされます。言わば、症状はインフルエンザウイルスと戦っている証拠です。しかし妊娠中は免疫力が弱いため、免疫が負けて、より重篤な状態になりやすいと言われています。特にただでさえ妊娠中は肺の負担が大きくなっており、インフルエンザによって肺炎になるなど入院が必要なケースも増加します。

お腹の赤ちゃんへの影響

インフルエンザウイルス自体がお腹の赤ちゃんに感染することはありません。ただし、ママのインフルエンザの症状が強いことで次のような影響が出る可能性があります。

・自然流産
・早産
・低出生体重児
(生まれたときの体重が2500g未満)
・small for gestational age(生まれたときの週数別の一般的な体格よりかなり小さく生まれる)
・胎児死亡などの増加

妊娠初期は赤ちゃんの体を作る重要な期間(器官形成期)で、この期間に有害な薬や多量のアルコールなどを摂取すると赤ちゃんの体が正常に作られないことがあります。同様に妊娠初期にインフルエンザに感染すると神経や心臓に問題が起こることがあると言われていましたが、実際にはママの高熱を治療すればこれらのリスクは上昇しないことがわかっています。

妊娠中は薬をのむことに抵抗がある方も少なくありませんが、妊娠中でも安心して服用できる薬とできない薬はある程度はっきりしています。「日本産婦人科診療ガイドライン産科編2020」でも「インフルエンザに感染した妊婦・分娩後2週間以内の褥婦(産後のママ)への抗インフルエンザウィルス薬投与は重症化を予防するエビデンス(根拠)がある」としています。

病院でよく相談しながら、必要な治療はきちんと受けることが大切です。また、自己判断は危険ですが、以下のサイトでは妊娠中や授乳中の薬について相談することができます。
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター

妊娠中のインフルエンザ感染は受診が必要?何科を受診する?

ここでは妊娠中にインフルエンザに感染した場合の受診について説明します。

(1)受診・治療は必要?

健康な人がインフルエンザに感染した場合には、特に治療をしなくても一週間程度で回復することがほとんどです。でも妊婦さんは免疫力が低下しているため、肺炎など重症化や、それに伴ってお腹の赤ちゃんにもその影響が出るケースもあります。必ず受診し、治療を受けましょう

(2)何科を受診する?

健康な人がインフルエンザに感染した場合には、基本的には内科を受診します。

妊婦さんがインフルエンザ等の感染症に罹った場合に受診する医療機関は、受診している産婦人科によって対応が変わります。症状が出てから慌てないよう、万が一症状が出た場合にはかかりつけの産婦人科を受診して良いのか、内科など発熱に対応している医療機関を受診したら良いのか、あらかじめ確認しておきましょう。また、実際感染したかもしれないと感じたときに診療科などに迷ったら、まずはかかりつけの産婦人科に電話で相談しましょう。

(3)受診のタイミングは?

インフルエンザの検査と治療に適したタイミングは、発熱後12時間~48時間です。12時間経過前だと検査に反応するだけのウイルス量に達していないかもしれず、本当はインフルエンザなのに「陰性」と出てしまう可能性が高いためです。逆に発熱から48時間以上経過すると、せっかく服薬してもその効果が得られにくくなります。つまり、きちんとインフルエンザであることが診断された上で治療効果が得られるためには、発熱後12~48時間の間に受診することが重要です。

ただし、妊婦さんの場合は、発熱後12時間経過していなくても例えば咳が続くことでお腹が張りやすくなったり、時間と共に症状が重くなって肺炎になることも考えられます。体調がおかしいと感じたら12時間~48時間という時間に縛られ過ぎず受診することが大切です。

4.妊娠中のインフルエンザ予防

ここまでで、妊娠中にインフルエンザに感染すると重症化や赤ちゃんへの影響などのリスクがあることがわかりました。ここでは、妊娠中のインフルエンザ予防について紹介します。

基本的なインフルエンザ予防

妊娠中でもインフルエンザを予防するための基本は変わりません。

・手洗いやうがい、マスク
・人混みを避ける

・バランスのよい食生活

・ストレスを溜めない

・規則正しい生活リズム

・良質な睡眠

・適度な加湿

妊娠中はつわりなどで食事のバランスが崩れがちであったり、お腹が大きくなるにつれて夜中に何度も目が覚めてしまったりしやすいです。手洗い・うがいの徹底など、できることから始めましょう。

インフルエンザワクチンによる予防

1章で解説した通り、妊娠中のインフルエンザ感染は、重症化しやすく、お腹の赤ちゃんへの影響も考えられるため、インフルエンザワクチンによる予防が勧められています。

妊娠中にインフルエンザワクチンは受けられる?

妊娠中でもインフルエンザワクチンの接種は可能です。

下の表は、妊娠中に接種できるワクチンと接種できないワクチンの主なものを分類しました。原則、「生ワクチン」は妊娠中には接種できません。「不活化ワクチン」は妊娠中にも接種可能です。(新型コロナウイルス感染症の「mRNAワクチンも可能です)

お腹の赤ちゃんへの影響が気になる方もいますが、インフルエンザワクチンは無毒化したウイルスから作られた不活化ワクチンであり、ママや赤ちゃんへのリスクは低いとされています。また、以前は防腐剤としてワクチンに含まれているエチル水銀が懸念されていましたが、現在、その関連は否定されています。

「日本産婦人科診療ガイドライン産科編2020」でも、「妊婦へのインフルエンザワクチン接種はインフルエンザの予防に有効であり、母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じて極めて低い」としています。また、妊婦さんだけでなく家族で接種することで、身近な人からの感染予防も期待できます。

インフルエンザワクチンはいつ接種するのが良い?

インフルエンザワクチンは妊娠してからでもいつでも接種可能で、その効果は接種後2週間~5か月間程度と言われています。そのため、流行時期との兼ね合いを考えながら、妊娠を希望した時点でワクチンの接種時期を検討しておくと良いでしょう。

また、妊娠後期にママがインフルエンザワクチンを接種すると赤ちゃんはお腹の中でママから抗体をもらい、生後6か月程度は持続することがわかっています。お腹の中でインフルエンザの抗体をもらった赤ちゃんは、もらっていない赤ちゃんに比べて感染率が6割程度に減少するという研究もあります。

赤ちゃんがインフルエンザワクチンを接種できるのは生後6か月以降なので、ママから抗体をもらえると安心ですね。(ちなみに、授乳によってインフルエンザの抗体を赤ちゃんにあげることができるという研究は無いようです。)

妊娠中のインフルエンザ体験談

総合病院で妊婦健診を受けていたので同じ病院でインフルエンザの治療もできた体験談

二人目の妊娠中にインフルエンザにかかりました。予防接種もしていたし、普段から手洗いとマスクは欠かさなかったのですが、上の子が保育園でもらってきてしまい…。私は総合病院の産婦人科にかかっていたので、上の子も私も同じ病院の小児科と内科にかかることができたので、もし何かあっても大丈夫かな、とちょっと安心でした。

インフルエンザの予防接種は、うつらないというよりも重症化予防ということらしく、そのおかげなのか、特に重症になることもなく薬で症状が落ち着きました。

妊娠中のインフルエンザはそれだけでもつらいのに、上の子の看病もしなければならないのがかなり大変でした。夫も休みをとって家にいてくれたけれど、上の子は具合が悪いせいか何でも「ママがいい!」となっていたので、普段からもっと夫が子どものお世話をできるようにしておけばよかったと思いました。

予防接種を受けていなかったので重症化を心配した体験談

妊娠がわかると同時くらいのタイミングでインフルエンザにかかりました。これまでもインフルエンザの予防接種をしたことはなかったので重症化したらどうしようと思ったけど、そこまで酷くならずに治りました。

妊娠初期なので、赤ちゃんにインフルエンザの影響がないか薬を処方されたけど本当に飲んで大丈夫なのかとても不安でしたが、病院の先生から「高熱が続く方が心配」と言われたので結局飲みました。

症状が落ち着いてきたころにつわりが始まったようで、インフルエンザであまり食べられていなかった上に、さらに食べられなくなってしまい、結局点滴のために入院しました。

妊娠初期の感染と薬で、赤ちゃんのことがとても心配でしたが、そのことを病院の先生もわかってくれていて、その後の妊婦健診ではいつも「よく診ておこうね」と言ってくれたのは心強かったです。

かかりつけの産婦人科ではインフルエンザは診てもらえなかった体験談

妊娠後期にインフルエンザにかかりました。突然高熱が出たのでとりあえずかかりつけの産婦人科に電話したところ「内科に行ってください」と言われ、妊婦なのに…とかなり不安でした。

内科では「薬は出せるけれど絶対に安全なわけではない」と言われてしまって、さらに不安に。でも妊婦は重症になることもあるし、そうすると赤ちゃんに影響が出ることもあると説明され、悩みましたが結局薬は飲みました。

妊娠中に絶対インフルエンザにかかりたくないと思っていたので夫婦で予防接種も受けたし、普段から気をつけていたつもりでしたが、ダメでした。治ってからの妊婦健診では助産師さんが「妊婦さんは免疫力が弱いからかかる人は結構いる」と教えてくれました。

まとめ

いかがでしたか?妊娠中だからこそインフルエンザに感染したくないのに、実は妊娠中だからこそ感染しやすいのです。できる限り予防をしながら、それでもかかってしまったときにはどうすればよいのか、この記事でおわかりいただけたと思います。感染予防をしながら、それでもかかってしまったときの心の準備をしっかりしておきましょう!

監修:ラッキーインダストリーズ

ラッキーインダストリーズは創立1934年の日本で一番歴史ある抱っこひもメーカーです。長い歴史の中、多くの子育てをサポートしてきました。私たちの想いである「AMAZING LIFE WITH BABY」を元に、多岐にわたる社会貢献活動を実践しています。本コラムでの情報発信を通して豊かで実り有る子育てのサポートにつながれば幸いです。

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